TONARIの 色撮り撮りの「その他」

広島市現代美術館 2020/12/9
広島県広島市南区比治山公園1-1

   特別展ごとに通っていた広島市現代美術館だが、2023年春までと長期の改修工事に入るため、クロージングイベントで館内の撮影が可能になるとのことで、これは良い機会だと訪れることにした。特別展によっては撮影可能な場合もあるのだが、展示室内の撮影というとどうしても気が引けてしまい、特にでっかい一眼レフを構えるというのは勇気が要るのである。もちろん作品そのものの撮影はNGなのだが、最初から撮っていいですよ、と言われると気分が楽である。
 なお、コレクション展の方は、作品だけはダメだが、記念撮影的な撮影は可能ではあったのだが、今のところそういう写真を撮っている人を見たことはない。美術館での撮影というのは、日本人のモラルとして、「してはいけないこと」という認識が強い。だんだんと変わってきてはいるのだが。

 比治山電停から坂を登り、被爆樹木のクスノキの手前の階段を登ってゆく。
 改修工事に関連してか、木々が取り払われ、以前より見晴らしが良くなっている。
 でも、あそこの桜の木は伐って欲しくなかったな〜という面もある。
 
 
 
 現代美術館周辺には野外彫刻が点在している。すべてを紹介することはしないが、オリエンテーリング的に散策するのも良いかも。
 被爆樹木のクスノキの他にも大きなクスノキが見られる。上の右側の写真のクスノキは現代美術館前にある大きなもの。
 100年位したら見応えのある木になっていることだろう。これは伐られなくて良かった(伐るには大きすぎだったのだろう)。
 
 
 現代美術館の入口から爆心地方面に下った先にあるのがムーアの広場。ヘンリー・ムーアの《アーチ》が鎮座している。
 ここは花見の名所でもあり、花の頃はたくさんの人がお花見にやって来て混雑している。
 広島市街地の展望も良くて気持ちの良い場所であるが、この方角で原爆が炸裂したのである。
 
 
 

 展示室に入る前に周辺の散策をする。
 エントランスの円形の広場が特長的。
 右側の写真がフェルナンド・ボテロ《小さな鳥》。「どこが小さいんじゃぁ!」とツッコミを待っているようでもあるが、それは視点を変えるだけで理由は分かるだろう。造形的にもおもしろい。奥にも他の作品がいくつも見えている。
 
 

 岡本敦生《CRUST (地殻)-9》・《CRUST-cocoon97-2》と、マグダレーナ・アバカノヴィッチ《ヒロシマ-鎮まりしものたち》。

 砂利の所は立ち入り禁止っぽくて入るのを躊躇してしまうが(事実、立ち止まっている人が居たので、「入って大丈夫ですよ。」と声をかけた)、奥にも作品があり、入っても良い。
 なお、改修工事で上の左側写真の様子が変わる予定である。カフェが出来るそうであるが、開館当初はこちら側が入り口だったそうである。
 
 

 左から、ぱっと見で作品には思えないが、タイルが敷き詰められたような鋳物は、田窪恭治《広島-1996》。
 中央は一番奥に行くと見られる藤本由紀夫《ECHO (HIROSHIMA)》。作品本体はこの右手後ろにあるのだが、影もこの作品のうちである。
 こちら側も出入り口があるのだが、こちらは今のところ使ったことはない。
 右がTONARI《落ちた枝葉-kusunoki-2020》、というのは冗談で^^、クスノキの枝がイイ感じに落ちていたので。。。
 
 
 
 いつもは正面から入ってそのまま鑑賞するのでこちら側にはあまり来ないのだが、正面から入って左手に進むとこんな感じ。
 下の円形の所は、通常コレクション展で使われる展示室の内側。
 特長的な場所であるが、野外ということもあって作品の保護的に難しいのか、あまり利用されることはない。
 ゲンビどこでも企画応募などでは使われるかな。コレクション展でも塞がれたままで開けられることはまずない。作品には有害な日光を遮断する必要があるからなのだが、折角の設計が生かされていない。日光が当たっても問題ない作品を展示するときは利用してほしいな。
 
 右下の写真は、井上武吉による階段モニュメント。
 バスで来た場合や、まんが図書館側から行く場合はこちらを通るが、歩いて登ることが多いので、あまり来たことはなかった。こちら側から訪れる方が、現代美術館に向かっているという感じがして良いかな?
 
 
 
 来た道を戻って。

 細長いスペースはカフェになっている。
 後で写真を載せるが、ここに来た時はここで昼食を摂るようにしている。

 ←下に見える□は狭間かと思ったが、敵を迎撃する場所ではないので狭間ではないだろう。ロウソクを灯して置く場所だったかな?
 
 さて、ようやく館内へ。
 受付で撮影の注意書きをもらって内容を確認し、缶バッジを胸につけて展示室に入る。三脚不可、自撮り棒不可(そんなに自分を撮りたいかな?)、動画不可。作品の接写不可。展示室全体を撮るような撮影は可能とのこと。
 
 
 一番最初の展示室は窓が広く、明り取りも多いので、展示室にしては明るすぎるし、端にドアもあるし、展示室にしてはちょっと不自然な感じがしていたのだが、かつてはエントランスとして使われていたとのこと。そう考えると、こちらの入口を使うと入館の導線が変わり、魅せ方が結構変化しそうである。外から見た時もここは入口だよな〜と思っていたのだが、こちらから入館したことはない。
 一度だけエントランスの空間を作品展示で使ったことはあったが、今は完全にデッドスペースになっている。改修でどう変化するのかな。
 
 現代美術館の特徴である螺旋階段も(魚眼レンズで)撮影。これは作品なので、写真を載せたらダメかな?2つ階段があって対になっている。

 続いて地下の半円形の展示室も撮影。こちらもこちらの美術館の特徴で、この曲面を使った蔡国強のインスタレーションが良かったなあ〜もう一度展示してくれないかな〜

 こちらのコレクションが展示されていたため、作品が写るのでここでは載せないが、現代美術館はいい作品を収集されている。改修工事が終わったら、現代アートに拒否感を持っている方も、食べず嫌いをしないで訪れて欲しい。
 
←展示室を出て地上に戻る階段の上から撮影。奥に見える扉の奥がスタジオ。映像作品が流れていることが多い。イベントもここで開かれる。

 左下は館内に入ったすぐのロビー。作品が写っているが、この大きさなら問題ないかな。受付は左手にあり、展示室入口も見える。改修工事で変わる場所である。

 右下の写真は階段を上がってロビーを写したもの。右手にミュージアムショップ。美術館に来ての楽しみの一つがミュージアムショップなので、改修して売り場面積を増やして欲しいな。
 
 
 ロビーを抜けてB展示室に向かう曲線の通路。回廊かな。
 常設展示の彫刻作品もあるし、ゲンビどこでも企画展ではよく使われる特長のある場所である。
 回廊の奥がB展示室入口で、カフェの入り口もある。
 右下の写真は、B展示室の出口。入口で使ったことはないかな?
 
 
 
 お腹が空いたのでカフェへ。

 いつもは一人客向けのウサギの椅子に座っているのだが、店内も撮影したいと思っていたので、他のお客さんが写っても顔が分からないようにするため奥の席へ。

 美術館内のカフェなので割高?ではあるが、ここの料理はなかなか美味しいので好きである。朝日珈琲のお店でもあるのでコーヒーはもちろん美味しい。

 改修後のカフェも朝日珈琲だといいな〜美術館のカフェは結構重要なのである。
 
 
 食事の後はいつもコレクション展が開かれるB展示室へ。
 いつもは上にあってそばで見られない天井の照明の「シャンデリア」が降ろされていて、作品のように展示されている。
 現代美術館の展示室は天井が高いのが特徴だが、いつもはシャンデリアで見えない部分もよく見える。天井に三角の凹みが見えるが、ここは明り取りになっていて、外光を取り入れるよう設計されていたのだとか。しかし、日光が作品に与えるダメージが考慮されて使われないようになったとのこと。長年使われていなかったので窓が開かなかったそうで、開く窓だけ開いている。「シャンデリア」の発光部分にはギザギザの傘?があって特徴的。
 
 
 
 上の写真は地下の展示室へ続く階段。
 外からの写真を見てどこにあたるか想像して欲しい。写真を撮るという目で見ると建築物の細かなところに気付く。
 右上の写真はこの階段の右手にあり、子供を預けるスペース。
 事前に申し込めば小さい子を預かってくれるそうだが、利用している人を見たことがない。
 下の写真は階段の踊り場。右下の写真は、降りたところ。この奥は円形の中庭。特徴的で面白そうな空間なのだが、意外と利用されることが少ない。やはり外光にさらされるせいか。紫外線カットフィルムなどもあるし、折角の特徴的な展示室を活かして欲しいな。なお、展示室への入室禁止となっていた。こちら側の展示室も撮りたかったなぁ。
 
 
 
 館外に出ると小学生の一団が。なるほど〜土日は閑散としているが、平日は学校利用で結構賑わっているんだ。
 そうそう。今日は有給休暇を取って来ている。有給休暇を使えという会社からのプレッシャーがあったのだ(笑)
 
 
 その後は再び野外彫刻を撮影へ。

 まんが図書館方面に坂を下ると彫刻の小径の案内があり、そこを登ると彫刻作品が2体あるが、ちょっと生かされていないかな〜と。

 森の中に彫刻があるというのは良いと思うのだけれど、森の中では埋没していて作品の雰囲気が場所と合っていない気がする。作品自体は良いのだが、魅せ方がイマイチである。

左側が舟越保武《EVE》。
右側が佐藤忠良《ポケット》。
 
 坂を登りきると外壁にトマソンな?階段があり、そこを登って窓を覗き込むと美術館を見下ろせるようになっている。こういうのは散策の楽しみになるので面白い。

 ここから階段を下ると普段は見ることはない、美術館の影の部分へ。
 東側は森と接しており、作品もないため訪れる人は少ないと思うが、結構面白いのである。
 ちょうど光が差して紅葉が照らされ、それが外壁に反射してきれいだった。身軽にするために望遠レンズを持ってきていなかったのが残念。
 
 
 
 そして、いろいろと苦言を呈されることが多い比治山スカイウォークにも足を伸ばす。いや〜ここは結構フォトジェニックな場所である。現にネット検索すると結構画像が上がっている。撮りたくなる建造物と言える。

 利用者は少ないかもしれないが、広島でこんな施設はないのだからもっと利用しないと。

 山登りをしている身からすると、登るうちにも入らない山(丘)なので、エスカレーターは敢えて使う必要を感じないのだが、障壁に感じる方もいるようだし活用すればよい。
 

 最後にPLフィルターを利かせ過ぎた写真を(笑)。

 現代アートはとっつきにくい面も多々あるし、文脈を理解しないと芸術だと理解できないややこしい面もあるのだが、続けて見ていると分かって来るし、面白さも分かって来る。黒川紀章設計の魅力的な建物であるし、建築を楽しむという側面でも面白い。今回の大規模改修でどういう風に生まれ変わるのかはまだ分からないが(イメージ図は出ているが)、広島で現代アートに触れることのできる貴重な場所であるし、2023年春の開館を楽しみに待っている。
 
 

<アクセス>
 
 広島駅より宇品港行きの「5番」の路面電車に乗って「比治山下」電停で下車。角に交番のある坂を登ってゆけばよい。
 

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