TONARIの 色撮り撮りの「渓 谷・ 滝」

春の十方山林道ウォーキング(続き) 05/5/29
広島県廿日市市吉和

>続きです

十方山林道 
 細見谷に入ると道は平坦になります。徐々に高度は上がりますが、急な坂があるわけでもなく、実感として平地を歩く感じです。

 新緑が目にまぶしく、辺りを包み込みます。
細見谷の滝 
 林道と細見谷の流れは少し離れているのですが、いくつか流れまで行ける場所があるので下りてみます。

 細見谷川は全般的に緩やかな流れですが、小規模な滝は見られます(左の写真)。

 参加者の中には魚影を見たという人もいましたが、私は見つけることが出来ませんでした。探し方が悪いのでしょう(^^;
ヒメレンゲ 
 同じ場所で黄色い小さな花が咲いていました。ヒメレンゲです。

 田舎で見たことがあるという人もいると思いますが、それはメノマンネングサやオノマンネングサなどの違う種類で、これは渓流の近くで咲く花です。

 よく群生する、鮮やかな黄色が美しい花です。
カツラの巨樹 
 林道を歩いていると巨大な木がありました(左の写真)。
 他の木が周りにあるので葉っぱを確認できませんでしたが、ひこばえがたくさん林立する樹形からしてカツラだと思います。

 幹周りは測りませんでしたが、巨樹巨木の仲間に入るのは確実です。秋になると葉っぱから独特の香り(嫌がる人もいますが)がしますので、その匂いがしたらカツラが近くにあると分かります。

 カツラは、広島ではあまり多く見ることは出来ないように思います。ちなみに県・市・町を含めて天然記念物の指定を県内で受けているのは、総領町にある原谷のカツラだけで、幹周りは2.6m。この木はそれよりも大きなものです。

 細見谷には大きな木がたくさん残っています。
細見谷渓畔林 
 わさび田に行く道から細見谷の流れを撮影(左の写真)。

 吉和の名産はわさびですが、渓畔林の外側(つまり山側)を人工林にしてしまったため、わさびの栽培にはあまり適さない環境になったそうです。

 
ヤブデマリ 
 時期的に林道上から見える花が少ないので、またまたヤブデマリの花を撮りました(左の写真)。

 細見谷の流れを見たり、森林浴も良いのですが、やはりときどき花があると歩くのが楽しいものです。
トチノキの巨木 
 また林道近くでトチノキの巨木を発見(左の写真)。

 まだまだ大きな木がいると思いますが、葉っぱが生い茂っているので、奥のほうまでは確認できませんでした。写真には撮りませんでしたが、他にもいくつか巨木を見つけました。

 先ほどのカツラ、このトチノキの他には、ブナ、イヌブナ、サワグルミ、ミズメなど多くの種類の木があります。また、これらの木々に絡みつくつる植物が多いように思います。
ヒロハテンナンショウ 
 木ばかり見ていましたが、林道沿いにヒロハテンナンショウを見つけました(左の写真)。

 前のページの冒頭の写真はオモゴウテンナンショウで、ともに細見谷を代表する植物のひとつです。オモゴウテンナンショウは植物図鑑に名前すら載っていません(手持ちの図鑑の中ではですが)。

 こうした貴重な植物が林道沿いにおり、舗装化すれば直接的に死滅します。

 また、林道上に水溜りを多く見ます。山側から川に向けて流れる水みちがあり、これらの濡れた場所に小型サンショウウオの仲間など水辺の生き物が暮らしています。舗装するとこうした水みちが寸断され、路面温度の上昇で水辺の生き物に影響が出ることが心配されています。
ツルウメモドキ 
 祠から約1時間半歩き、下山林道との分岐付近の河原に下りて昼食にします。

 昼食後、ツルウメモドキの巨木を見たい人は行きましょうという堀啓子さんの言葉に従いついてゆくと、左の写真のような太いツルウメモドキに出会いました(場所の公表は控えたいと思います)。直径25cm。

 細見谷は太いつる植物が多いところですが、この木がそれを代表しています。ミズナラ(かな?)の若木に絡まりついてうねるように伸びています。

 つる植物を普通にイメージして、こんな太い木をイメージできる人はいるでしょうか?これが細見谷の自然なのです。
カツラの巨樹 
 ツルウメモドキの近くにこれまた大きなカツラの巨樹が聳えています。外から見えないだけで、細見谷周辺にはもっと多くの巨樹巨木が隠れているのかもしれません。

 
ナツツバキの大木 
 河原に戻り、二軒小屋を目指して再び歩き始めます。

 写真の木は真夏に白い花をつけるナツツバキの大木です。つるつるした樹肌から、サルスベリという地方名があります(種としてのサルスベリとは別物です)。
ツタウルシ 
 堀さんの説明を聞きながら歩き、水越峠に近づくにしたがって傾斜は増していきますが、それほど急な道ではありません。

 左の写真はツタウルシです。秋に鮮やかに紅葉しますが、ウルシの仲間ですので、触るとかぶれます。注意してください。
ヤグルマソウ 
 ヤグルマソウの群生地がありました(左の写真)。蕾の状態なので花はまだです。照りの良い大きな葉っぱを、林床を埋め尽くすように拡げています。

 また、中部以北が分布域と言われるオオウバユリがあるそうです。花のついた状態で確認してみたいと思いますが、中部地方から遠く離れたここ広島が南限ということになり、ここにあることが貴重な植物です。見つけても盗っていかないようにお願いしますね。
ミツバウツギ 
 ウツギに似た花を発見。ミツバウツギでしょうか、花がウツギより小さめなのでかわいらしい感じがします。

 でも、ウツギはユキノシタ科、これはミツバウツギ科なので、同じ仲間ではありません。
 
 下山林道分岐から約1時間で水越峠に到着。10分ほど下ると十方山の登山口のひとつ、シシガ谷登山口に到着し、ここで小休止します。二軒小屋の駐車場まではここから30分ほどですが、ここから林道は荒れていて歩きにくくなります。
 フィルムが数枚残っているので何か他に撮っていないものはないかと探し、最後の最後でヤグルマソウとコケイランを見つけてフィルムを使い切りました。
 
 長い林道を歩き切り、みんな揃っていることを確認し、二軒小屋駐車場で待っていたジャンボタクシーとバスに乗ります。帰りは開通した緑資源幹線林道を通り国道191号まで出ます。スキー場へのアクセス道路としては、このようにもう開通していますので、二軒小屋から先の舗装化は必要ないでしょうにね。
 吉和支所に戻り、こうして14.4kmという十方山林道ウォーキングの1日は終了。皆さんお疲れ様でした!
 
 
 十方山林道を初めて端から端まで歩きましたが、カツラやトチノキ、ツルウメモドキなど多くの巨樹巨木に出会えて収穫のあるウォーキングでした。以前のレポートに載せているトチノキの無事?も確認しましたが、まあ、こんなに大勢いると行き辛いですね(^^; 目当てにしていたオモゴウテンナンショウにも出会えてとても良かったと思います。季節ごとに咲いている花も異なりますし、時期をずらして入谷すると良いでしょう。

 緑資源幹線林道化工事が中止されて、自然観察路として活用される日が近いことを祈ります。
 

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