TONARIの 色撮り撮りの「渓 谷・ 滝」

紅葉の三段峡 (三ツ滝、三段滝、二段滝) 01/11/11
広島県山県郡戸河内町

聖湖口周辺の紅葉 
 広島県の紅葉を紹介する上で外せない渓谷といえば東城町の帝釈峡と、今回紹介する戸河内町の三段峡である。
 
 人混みが嫌いな私であるので、確実に混雑する場所はあまり乗り気ではないのだが、紅葉が不作といわれた1999年でさえ三段峡の紅葉は美しかったことを思い出し、行ってみることにする。
 
 三段峡といってもかなり広い。
 JR三段峡駅付近から上流の樽床ダム(聖湖)まで約12qあり、すべてを見るつもりなら丸1日がかりである。
 アプローチとしてはJR三段峡駅口、深入山口、上流の聖湖口、恐羅漢山への林道の途中から入る餅ノ木口に二段滝の近くから入る横川口といろいろ。
 車のない方はJRで三段峡駅に行きそのまま入るか、水梨や聖湖に行くバスを利用することになる。
 車を持っている方は、どの場所でも良いが、2台使うのではない限り同じ道の往復となる。また、時期的に混雑する時なので早めに着かないと車が置けない場合がある。
 三段峡駅から聖湖までの間を歩こうとすると全行程5時間位が目安ではないだろうか。二段滝に寄ったりしていると1時間以上余分にかかるので(紅葉の時期は猿飛の渡し舟は30分は待つので)、最低朝の9時には歩き始めよう。

 今回のコースは聖湖から三ツ滝、龍門、出合滝、三段滝、二段滝、水梨口と歩く三段峡上流域のコースで、車を2台使うことにする。

早朝の霜の下りたススキと紅葉 
 朝8時、深入山から下る道から橙色の紅葉を見ながら水梨駐車場に車を止める。
 
 入口に最も近い駐車場に止めるがやはり数台止まっている。朝の冷え込みが厳しくなりつつあるようで、霜が降りてススキが白く化粧を施している。
 
 もう一方の車に乗り換え聖湖を目指す。
 こちら側に下ると霧がかかり紅葉と相まっていい雰囲気となっている。
 ダムの堰堤を渡り駐車場に車を止める。霧が立ちこめ湖はホワイトアウト。堰堤から峡谷をのぞき込むと紅葉した木々が白いヴェールをまとっている。

三ツ滝 
 紅葉の具合は、葉っぱが散った木も多くすでに晩秋の気配が漂うが、ところどころに現れるもみじの赤がかえって引き立つ(冒頭の写真)。
 聖湖口からは三ツ滝まで急な坂をジグザグに下る。落ち葉で滑りやすい所もあるが道はよい。
 
 三ツ滝は三曲五段の滝で三段峡「五大景観」のひとつで、奥行きも高さもあるので見応えがある。惜しむらくは紅葉が終わっているので紅葉と滝という構図が出来ないことと、光が滝の部分に差していないので、滝に露出を合わせると周りの色が飛んでしまうこと。
 
 貴船滝なる小さな滝を過ぎ、次の見所は竜門。岩と岩に挟まれた狭いところを水が流れる場所である。私はフレーミングに失敗したが、パンフなどにある写真を見るとなかなか迫力がある。
 繰絲滝、出合滝(見応えはある)、娘滝とところどころ小さな滝が現れ、一方本流である柴木川は川幅が広いのでゆっくりと流れ、紅葉が写り込む。暗い場所と明るい場所の差が激しいので、写真を撮るとなると難しい。
  娘滝を過ぎてしばらくすると、恐羅漢山へ続く林道と合流する。餅ノ木口である。まだ早朝の霜が降り積もったままで地面は白く、まるで雪化粧。まだ紅葉に目を取られがちだが冬は確実に近づいている。日光に暖められて蒸発する霜が湯気のように静かに立ち上っている。
 

三段滝 
 再び散策路に入る。紅葉の感じは相変わらずだが、三ツ滝周辺と比べれば色づいた木々が多い。
 緩やかな流れで、紅葉の写り込みで橙色の流れとなっている。朝早いためかこの上流域のコースを歩く人は少なく、且つ全体として下り坂なので気分が楽である。
 猪上らず、玉緒滝を見ながら渓谷美と紅葉を堪能しながら歩く。
 
 三段滝はまだかと思い始めた頃、川から道が離れ坂を上がり、下ると三段滝の見える場所に着く。途中樹間から滝をみられる場所もある。
 上から三段滝を見に来た人を見下ろすと5,6人と少ない。しかし、ちょっと休憩していると一気に人が増えた。これ以上人が増えない内に行くことにする。
 三段滝周辺の紅葉はまずまず。パンフの写真と比べると紅葉は少し終わっているのか。
三段滝周辺の紅葉 
 隙を見て記念写真を撮る。
 
 どんどん人が来て写真を撮っているので、レンズの前に入らないよう気を付けながら人混みをすり抜ける。
 
 さすがにここからは人が多い。一眼レフを持った人とも多くすれ違う。

二段滝
 次に向かうは二段滝。途中の近道に入り(急ぎみの坂を登る)、何人もすれ違いながら進む。
 木の種類については花よりも疎いのでよく分からないが、真っ赤な楓の他にも色づく前の緑の葉っぱや、黄色の葉っぱなどが辺りに満ち、人の多さを忘れて爽やかな気持ちとなる。
 
 さて、二段滝へは猿飛といわれる岩と岩との間の狭い水路を渡し船で行かなくてはならず、案の定行列が出来ていた。
 一艘15人くらいの定員で、30分ほど待った。料金は400円。水深7mという深さにも関わらず底に落ちた葉っぱが見えるほどの透明度で、鮮やかな緑色(年輩の方の表現では青だろうが)。ひんやりとした冷気が漂い、真夏でもかなり涼しいだろう。ほんの数分で二段滝に着く。
 
 二段滝という名はあるが実際は一段。自然災害で上の滝が崩れたそうだ。水量も多く存在感のあるいい滝である。
 すこし上に登り大きな岩のところで昼食を摂る。上から見る二段滝もまた良い。他の人は記念撮影をしてそのまま帰る人が多いが、二段滝しかないので仕方あるまい。
 周辺の紅葉はまずまずだが少し終わっているようだ。二段滝と紅葉をセットで写そうと思ったが難しいようだ。
 
 あとは葭ヶ原に向けてひたすら歩く。天気は晴れだが、朝のように雲一つない青空は終わり、雲が空を覆い始めた為輝く紅葉はなくなった。しっとりした紅葉というのも味があるが、輝く紅葉の方が爽快ではある。
 
 葭ヶ原周辺の紅葉はなかなか良く、光が差していればもっと良かっただろう。
 午後2時を回っているというのにまだ多くの人が紅葉を見にやってきている。車で国道に上がる途中でも5台くらいはマイクロバスとすれ違った。さすがは広島県を代表する名勝である。
 
 見るべきところも多く、郷土の自然として誇れる場所であるので他府県の方を連れてきても必ず満足されるだろう。
 今回は紹介していないが、下流域も見所が多く、紅葉の頃の黒淵は特にすばらしい。見所が多いが反面全部見て回るのは大変なので、訪れる場合はどのルートで行くか十分に下調べをする必要がある。道の駅などにパンフなどが置いてあるので情報収集は日頃から行っているとなお良い。
 
※ちなみにトイレは上流域では、猿飛の渡し舟のところと葭ヶ原、水梨駐車場くらい。今日のコースは大体7kmなので、特に女性の方は良く計画して歩いたほうが良い。
 

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