TONARIの 色撮り撮りの「紀行」

秋の耕三寺と生口島めぐり 04/11/27
広島県豊田郡瀬戸田町・因島市

孝養門 
 今年の紅葉は県南部もおおかた盛期が過ぎた頃なので、どの辺に行けばよい紅葉に出会えるかと行く先を検討する。

 インターネットでも紅葉情報が出ているので名所の一覧を眺めていると、12月上旬が見頃となっている耕三寺に目がいった。

 耕三寺というと桜の名所との印象が強いのだが、長いこと訪れていないし、近くにある平山郁夫美術館にはまだ行ったことがないので、耕三寺を中心として生口島をうろちょろすることにした。

 いろいろと行き先を検討し、耕三寺、向上寺、平山郁夫美術館、シトラスパーク、御寺のイブキビャクシン、祗園社の楠と回ることにした。


 耕三寺のある瀬戸田町の生口島へは船で行く方法もあるが、今回はしまなみ海道を使うことにする。
 三原市から尾道方面へ国道2号線進み、尾道バイパスに入る。案内にしたがってしまなみ海道に入り生口島北ICで降りる。しまなみ海道は一旦ここで途切れる。ICを降りて左折し、県道81号線を耕三寺の案内にしたがって進む。

 今日は(も?)たくさん各所を回るため朝早く出発したので、8時前には耕三寺へ到着した。駐車場は心配していたとおり有料駐車場ばかり...。平山郁夫美術館近くの無料駐車場は鎖がかかっていてまだ開いていない。朝早いので係員もいないのでどこに停めようかとうろちょろし、ここは停めてもよいだろうと思われる場所へ駐車。場所を書くと問題があったら困るのでここでは書きませんが(^^;
 
向上寺三重塔 案内地蔵 
 まず最初に耕三寺に向かうがまだ開門には早く、門の前で待つには時間があるので、商店街を通って向上寺に登ることにする。向上寺には国の重要文化財の三重塔がある。

 昔訪れたときは、瀬戸田桟橋から商店街を通って耕三寺に向かったが、しまなみ海道ができて車で来ることができるようになったので、かつて賑わっていた商店街も人通りが少なくなったそうだ。朝早いので閉まっている店が多い。

 各お店の前にはミカンの木が植えられ、それがずっと続いているのは、柑橘類で有名な瀬戸田らしさが出ていて良い。

 港に向かって商店街の中をいくらか歩くと向上寺の案内が出るので右折。案内に従って坂を登ってゆく。紫色の花が群生しているが、これはイモカタバミだろうか。朝早いのでまだ十分には花を開いていない。

 向上寺へ登る道に沿って案内地蔵というかわいらしいお地蔵様がいくつもあって上まで案内してくれる。皆スカーフのような前掛けがしてあり、お地蔵様ごとに色が違う。なかなか良い工夫だと思う(左の写真)。
三重塔 
 今日は山登りのつもりはなかったが、ちょっとした山登りになってしまった。ヤクシソウが階段の枕木のそばに咲いているのを見ながら山頂に向かう。

 山頂は広場となっており、木々があるので360°の展望とはいかないが、ところどころ開かれているので瀬戸内海の展望がよい。

 三重塔の方を見ると、上の部分が突きだし、後ろには瀬戸内海が見えるというビューポイントになっている(左の写真)。平山郁夫のしまなみ五十三次のひとつの景色だ。

ツワブキ 
 耕三寺に戻るのに急な階段を下り坂を下る。どうも下る方向が違って瀬戸田桟橋の方に下ってゆくが、行くべき方向は分かっており、迷っているわけではないのでそのまま進む。

 ちょっとお寺の境内に入ると大きなツワブキが咲いていた(左の写真)。

 商店街に戻り耕三寺に向けて歩く。だんだんと店が開けられていたので、ブラブラと覗きながら歩く。
 瀬戸田の特産というとレモンとタコ。今日は焼酎に漬ける用にレモンを一袋買う。干物屋にはたくさんの種類の乾物があるが、今は歯の治療中なので買う気になれなかった(^^;。
 昔はこういうところにこなければ買えなかったものだが、今ではどこでも買うことができるので、そうは売れないのかもしれない。

 荷物を車に載せてから耕三寺に向かう。
 西の日光と言われるように豪華な建物だ。豪華すぎて人によって好き嫌いが分かれるかもしれない。少し入ったところで入館料1200円(高い...)を払い中に入る。朝早いので掃除をしている人がたくさんいる。
 
耕三寺 サザンカ
 階段を上ると目の前にあるのが五重塔。奈良の室生寺の五重塔を模して作られ、鮮やかな彩色は耕三寺の特色となっている。

孝養門 
 五重塔を中心に法宝蔵、僧宝蔵が対となっている。中に入ることができるので収蔵物を見学。

 真ん中に戻って階段を上れば孝養門(左の写真)、日光東照宮陽明門を模したもので、耕三寺を代表する建築物である。
八角堂と紅葉 
 ふつうはこのまま進むものだが、誰かさんは性格がひねくれているので(笑)桜の木の紅葉に沿って左手を回ることにした。耕三寺は桜の名所として知られるが、紅葉の時期は桜が紅葉していてきれいである。

 銀龍閣、八角円堂の周りはカエデが多くきれいだ(左の写真)。

 境内の裏まで回り込み、茶祖堂を過ぎて救世観音像まで来る。見上げんばかりの大きな像だ。近くには藤棚がある。
本堂 
 本堂までやってきて記念撮影をする。
 
孝養門孝養門
 孝養門は、日光東照宮陽明門を模したというが、そちらの方をまだ見ていないので比較は出来ないのだが、見れば見るほど手の込んだ門である。

 なお、本堂に向かって右手に洞窟への入り口があり、地獄めぐりができるようになっている。
未来心の丘 未来心の丘
 
 洞窟を出たところで係員さんに未来心の丘に寄ってくださいと言われたので素直にそこへ向かうことにする。境内の裏から道に出ると、まぶしいぐらい真っ白の大理石の彫刻の丘が見えた。

 エレベーターで少し上がり、全て大理石で敷き詰められた丘を歩く。歩いた感じは滑りにくくしっとりとした感じで歩きやすい。

 甲山町出身の彫刻家杭谷一東氏の設計製作とのこと。緩やかな坂を登ってゆくといろいろなモニュメントが各所にある。一番上からは大変展望がよい。
 しかし、いったいいくらかかったのだろう。大理石の値段だけでもかなりのものだと思うが...。なお、入園料はいらない。

 ちょうど小腹がすいたので、中腹(?)にあるカフェで軽食をとる。ここも氏の設計で、むろん大理石でできている。

 このまま帰ろうと思ったが、今まで行ったことがなかった潮聲閣へ行くことにする。
 以前は別途料金が必要だったが、現在は無料となっているからだ。かなり豪華な造りで、大きなケヤキ、黒檀、紫檀、屋久杉などが使われた贅沢なお屋敷である。各地の巨樹を見て回っているので、これだけ大きな板を採ろうとしたら巨樹の域に達したものが必要になり、今は多くが天然記念物となっているので入手困難なものばかりだと思われる。一見の価値はあるので、高い入場料を払ったからには見ておいたほうが良い。
 
平山郁夫
美術館
 
 耕三寺を出て再び商店街へ行きコロッケを食べる。
 一度車に戻り、カメラなどを置いて平山郁夫美術館へ。入館料は1000円。
 展示室へはすぐには行かず、ビデオ上映しているところがあるので、まず、ビデオで予習してから展示を見る。予習してから見ると絵の見方が変わってくる。
 小さな時の絵を見てもしっかりとした絵ばかりだ。シルクロードの絵も独特の色合いがよかった。時期によって絵が変わるそうなので、これくらいの内容なら1000円の価値はあるかもしれない。
 
シトラスパーク
瀬戸田
シトラスパーク瀬戸田の温室内 
 次に向かったのはシトラスパーク瀬戸田。第3セクターの失敗例として全国放送された柑橘類のテーマパークだ。結局入場料無料となった。

 耕三寺から少し東に進んでところで右折し、島の南に向けて車を走らせる。案内に従えば到着する。

 大きなミカンやレモンのモニュメントが広場に置いてある。温室では世界の柑橘類が見られる。たくさんの種類が見られるので、興味を持って見学するのならおもしろいだろう。

 思ったよりも来場者がいるが、広すぎるのでどこか寂しい感じがする。しまなみ海道の開通にあわせて開園したわけだが、どこのテーマパークも失敗している中、収益を上げるのは難しいだろう。
御寺の
イブキビャクシン
御寺のイブキビャクシン 
 次は光明坊に向かう。
 島の南の国道317号に出て東進すると光明坊の案内が出るので左折すると到着。広い駐車場がある。

 ここには御寺のイブキビャクシンという県内最大のビャクシンの巨樹がある(左の写真)。幹周りは4.4m。

 龍のごとくうねるように地を這い、壁を突き抜け外に伸びている。


 このビャクシンの巨樹には言い伝えがあり、浄土宗を広めた法然上人が、私の教えが間違っていなければ杖から枝が出るとと言い、本当に枝が出て大きく成長したそうだ。しかし、大きくなり過ぎ、田んぼを覆うようになったので翌日切ってしまおうとしたが、朝になるとクルッと向きを変えて境内の方に曲がったそうだ。真偽はともかく、そういう話が伝わっているのが納得できる生命力を持った巨樹であるのは間違いない。また、この光明坊は文化財の宝庫であるので、その方面に明るい方にも興味深い場所だろう。
祗園社の楠 祗園社の楠 
 最後に祗園社の楠に向かう。
 国道317号を東進し、因島市に入り、東生口小学校のところを左折すると見えてくる。駐車場はないが、少し広いところがあるので、少しの間だけなので置かせてもらう。

 このクスノキは幹周り6.25mで県下11位のクスノキであるが、枝の張り出しも大きくて樹形も美しく、上位のどの木にも負けないすばらしいクスノキである。

 結局瀬戸田を出発するのが夕方になってしまい、早朝から長い間の滞在となった。
 久しぶりの耕三寺だったが、こうして写真を多く撮るようになってはじめて訪れると、以前とはまた違った視点で見ることが出来た。平山郁夫美術館も良かったし、最後に訪れた2つの巨樹巨木も見応えのある素晴らしいものだった。瀬戸田には他にも見たい場所があるのだが、それはまた今度の楽しみとしたい。
 

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