TONARIの 色撮り撮りの「紀行」

御手洗散策と「みたらいアートウォーク2025」 2025年5月4日
広島県呉市豊町御手洗


 平成の大合併で新たに加わった島々を巡ったのは19年も前である。
 あの時は豊島大橋もなく、上蒲刈島の大浦港からフェリーに乗って豊島港に行ったのだが、今は船に乗ることなく御手洗のある大崎下島まで行くことが出来るようになり、とびしま海道と呼ばれて自転車で走る人も多く見かけるようになった。
 うちの子が学校で御手洗に行ったというので、そのうちに行ってみるかなと何となく思っていたところ、ゴールデンウイークに海でつながるアートウォークという、地域芸術祭的なことをしているようなので行ってみることにした。
 また、19年前に撮った写真の撮り直しをしたいと思っていた。
 あの時はプリントしたものをスキャナで画像化したので、色合いが悪いし、写真としてイマイチである。
 

 今回は初めてバスで御手洗まで行くことにした。
 1時間20分くらいと、路線バスでの移動では人生で一番長い経験である。
 何もしない時間が長いので、新書を1冊リュックに入れて出発する。
 この前の週に大岐神社のムクノキを見に立花港まで行ったのでおおよその感じは分かり、最初こそ本を読んでいたが、車窓から景色を楽しむだけでも結構楽しめる。

 子供の頃、仁方港から田戸港にフェリーで行ったよな〜とか、キリが咲いているなとか、前に行った室原神社はあの辺だったなとか、あの無人島は絵になるなとか、思いのほか時間が早く進む。

 朝早い便だったのもあると思うが、乗客は数人で、御手洗まで乗ったのは私だけだった。運賃は千円強だが、お客さんが居ないから採算は合わないだろう。
 

 御手洗港で下車し、島らしい細い道を通って街並み保存地区に入る。
 お客さんはまだまばらなので写真は撮りやすいが、明暗差が大き過ぎて露出が難しい。
 ハーフNDでないと調整できないので、マイナス補正で撮影して、後処理で暗部を明るくすることにする。
 竹原の町並み保存地区は車で離合できるくらいの道幅はあるが、ここは島らしく、車1台分の幅しかなく、この狭さに情緒を感じる。
 民家の壁には花が生けられており、雰囲気が良い。
 若胡子屋跡は工事中なのは残念だが、古い建物なので定期的なメンテナンスは必要である。
 
御手洗天満神社
 そのまま進んで御手洗天満神社へ。 
 
 参道の両脇には桜並木となっていて、木が大きく、花の頃は良さそうである。
 拝殿の右に進むとモミノキが高くそびえている。
 更に進むと大きなクスノキがある。ツタが這っているが、根は張りやすそうで樹勢は良さそうなので、将来の巨樹候補である。

 お社の下を潜ることができる可能門という箇所がある。
 他ではあまり見ることがないので、一度通り抜けると良いだろう。
モミクスノキ可能門
時計店越智医院跡
 街並みに戻る。

 時計屋さんが雰囲気が良い。
 古い時計を修理できる貴重なお店らしい。

 越智医院跡。
 レトロな雰囲気で趣がある。
 10時くらいになると観光客も増えてきた。
 意外とお客さんが多いのだな。

大東寺瓦の鳩
大東寺のクスノキ大東寺のクスノキ
 朝のうちに歴史が見える丘に登るつもりなのでざっと通り過ぎ、撮り直しをしたいと思っていた大東寺のクスノキを観に行く。

 クスノキの巨樹としては小振り(変な言い方かな?)ではあるが、根の張り出しが大きく、直幹で背が高く樹冠の大きな木であるのでカッコイイ。

 根の露出が大きいので、根回りの土が洗われたのか?

 御手洗の街に居るとこの木がよく目立ち、シンボルツリーと言って良いだろう。新緑と花の時期であり、さわやかな黄緑色はより映える。
満舟寺の石垣御手洗幼・小・中学校跡

 ここから少しだけ山手に入ると満舟寺があり、ここは石垣が見応えがある。お城かと思うほど立派なものである。
 ここから少し南に進むと学校跡のグラウンドがあり、ここに入ると向かい側に歴史の見える丘への登山口(?)があり、そこから階段を登っていく。
 山道ではあるのだが、しっかりと整備されており、ちゃんと観光地仕様になった道である。ヒールはさすがにダメだが、普通の運動靴ならまったく問題ない。
 
途中にあるクスノキの巨木ミカンの花ビワの実
歴史の見える丘公園への最後の急階段
 道のそばにクスノキの巨木があるが、これは将来の巨樹候補である。

 登りきると開けた場所となり、展望が開ける。
 目的地はまだ上だが、体力的に自信がなければこの辺で引き返しても良い。

 ミカンの白い花は蕾が多く、早いものは先っぽが開いていた。5月中旬〜下旬くらいかな〜ミカンの花はかわいらしいのでその頃にまた来たいな。ビワは実になっているが、収穫にはまだまだ早い。

 一旦、山腹を走る舗装道路に乗り、少しだけ左に進むと、さらに登る階段がある。ちょっと雑草が茂り気味だが、こちらも観光地仕様のしっかりとした道なので問題なく登れる。時々振り返ると新緑と瀬戸内海と島々が美しいが、ここの階段はちょっときつめである。
山の上から町並みを見下ろす
 登りきると歴史が見える丘である。
 駐車場もトイレもあるし、山道の運転が苦でなければ車で来ることもできる。
 標高は86mなので、山登りというほどでもないが、360度に展望できる景色はとても良い。
 愛媛県の岡村島へと続く橋と島が絵になり、ここの代表的景観である。御手洗に来たらここまで登ろう。
 
歴史の見える丘公園からの展望
住吉神社
 おやつ休憩の後、南側に降りる道もあるようなのでそちらに降りてみると、先程の山腹を走る道と合流した。そして更に下る遊歩道があるのでそこを下ってゆくと、住吉神社近くの道にでる。

 この周遊コースが良さそうであるが、利用している観光客はどれくらいか。
 夏場は私も遠慮するが、冬場の暖かい日に散歩するのにちょうど良さそうである。

 住吉神社に立ち寄ってみる。
 植えてあるハナミズキやヒラドツツジは盛期が過ぎているが、彩として華やかである。島の神社で時々見るが、本堂の屋根の上に屋根をつける、家の中にお社がある形となっている。本堂は桧皮葺なので、その保護のためか。
千砂子波止
 神社のそばにある、御手洗の代表的景観のひとつである千砂子波止まで行ってみる。
 しっかりとした石組みの堤防で安定感がある。
 隙間からかっぽん(イタドリ)が大きく育っている。
 灯台自体はそれほど大きなものではないので、周囲の風景と取り合わせるのは良い。
 
千砂子波止から御手洗の町並み

 海でつながるアートウォークは御手洗だけでなく、大崎上島、竹原でも行われているようだ。御手洗での展示場所は点在しているので、住吉神社に一番近いところから行く。

 ピンク色の独特な建物があり、3人の作家が展示販売している。
 御手洗の景色を描いたものや、モビールのような作品などなかなかレベルが高い。
 作家さんが在廊していて自身の作品について説明してくれる。
 作品を飾る場所と財力があれば買っても良さそうな作品があるが、そう手軽に買えないよな〜と思っていたら、買う人が居たようである。そのつもりで観に来ているのだろうな。
 絵だけで生計を立てられる人は少ないので、こうして若い作家の作品が売れるというのは良いことである。お値段に見合った実力はあるように思う。お向かいにも展示があるので拝見する。

 どれだけお客さんが来るのかと思っていたが、ゴールデンウイークということもあろうが、意外と訪れる人が多い。島なので、混雑するほどではないので、程よい賑わいである。
 他の展示場所を見て回る。
 基本的に作家さんは在廊しているようで、作品の説明をしてくれる。
 今回は買う気で来ていないが、全体のレベルは低くはないので、思いがけずにいい作品に出会ったら買うこともありそうである。

 最近彫刻が気になっているのだが、陶器の造形で面白い作品を見つけた。
 我が家は狭いので、飾る場所があったら欲しいな。
花々アヤメコデマリ

 いろいろ回った中で、田中佐知男さんの作品が一番力があるなと感じた。
 瀬戸内海の光る海を描いたもので、光の中にいろいろな色が折り重なって輝いている。
 写真でも光る海は撮れるのだが、こういった表現は絵ならではである。
 多くは無いが、外国人観光客の姿も見える。
 港に行くとクルーザーが停泊していたので、船で観光しているのか。いいな、クルーザーで瀬戸内海の島々を巡る旅とは。

 ここは花が多いので、花の写真を撮る私としても嬉しい。
 ヒラドツツジを植えているところは多いが、オオデマリ、コデマリ、アヤメなども見られ、軒先に生けた花も良い。
 
オオデマリミカンジュース

 当初は14時くらいのバスの便で帰ろうと思っていたが、思いのほか早く回れたので、1個前の12時の便で帰ることにした。
 どこかで食べようと思っていたのだが、時間が微妙になりそうなので、非常食用で持っていたカロリーメイトで昼食にする。
 お土産を買って、まだもう少し時間がありそうなので、搾りたてジュースを購入する。
 おっと、どこかのお店で食べても余裕があったな。
 次にいつ来るかは未定だが、アート作品は毎年違うものだし、また来ても楽しめそうである。
 海でつながるアートウォークはホームページがあるので詳しくはそちらで確認を。
 竹原とか大崎上島のイベントにも行ってみようか。
 

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