TONARIの 色撮り撮りの「紀行」

新呉市の島々をめぐる 〜豊島・大崎下島〜 06/2/12
広島県呉市豊浜町・豊町

豊浜大橋〜大崎下島より 
 平成の大合併で私の住む呉市も周辺の町と合併して広くなったが、新しい呉市の中でまだ足を踏み入れたことがない町が豊町と豊浜町の2つであり、この2つの町がある豊島と大崎下島を今回訪れることにした。

 実のところ、大崎下島には広島県最大のムクノキ、大岐神社のムクがあるので、いつかは行かねばと思っていた。

 また、御手洗の町並みも見てみたかった。

地図

 コースは、

( 豊 島 )
空海展望台−十文字展望台−雄こんの滝−室原神社(ホルトノキ群叢)

(大崎下島)
大岐神社のムク−一峰寺山−宇津神社(ホルトノキ)−御手洗
 


 瀬戸内海の島々は、しまなみ海道のように橋でつながっている場所もあるが、今回行く2つの島は船でないと行けない島である。この2つの島は上の写真のように橋(豊浜大橋)でつながっているのだが、他の島からはつながっていないので(愛媛県の岡村島はつながっているが)、どちらかの島に船で渡る必要がある。

 島の道は狭いので、車ではなく歩きの方が良いのだが、この機会にあちこち回りたいので車で行くことにした。
 
 川尻から安芸灘大橋を渡り(普通車700円←高い!)蒲刈島に渡る。県民の浜に向けて蒲刈大橋を渡り、大浦港の案内に従い進む。 大浦港は港を少し行き過ぎた感じのところにフェリー乗り場がある。うちの車は2430円で、大人は190円。運行ダイヤや金額は山陽商船のHPで確認のこと。

 あまり乗る人はいないと思いきや、大勢の人が待っていてビックリ!早目に着いたので良かったが、ギリギリだと乗れなかったかもしれない。
大浦港
7:52
フェリーから 
 大浦港から豊島港までは20分弱の短い船旅であり、船旅を楽しむと言う点では不満かもしれない(^_^;

 大浦港北側の注連縄をしている2つの島(荷島)を見たり、穏やかな瀬戸内海を見ながら島に着くのを待つ。

豊島港
8:09

 豊島港に到着し、出たところを右折し、空海展望台に向かう。豊島は大きく分けて2つの山があるが、そのどちらにも展望台があり、瀬戸内の展望を得られるようになっている。最初に行く空海展望台は北側にある。瀬戸内の島では車道が山頂までついている山が多い。

 北に進むと、ループして左手の山頂に向かう道があるのでそこを右折。大きくカーブして山側に入り、500mくらい進んで右折して狭い道に入る(ちょっと見落としやすいかも)。車で通るには狭いが、歩いて登る場合にはちょうど良い道幅である。

 山を回りこみ島の西面に出て中腹を回る車道を進むと左右に道が別れる場所に突き当たり、その辺の退避スペースに車を停める。空海展望台はここから歩くことになる。 車を停めたのは公園らしきところだが、藪に覆われ廃墟のよう...こういう場所は時々見るが、何だかむなしい...
空海展望台
8:27
中腹から上蒲刈島
 遊歩道を5分ほど登れば空海展望台。標高317m。

 木々が大きくなって展望は360度とはいかないが展望はまずまず。朝早いので朝日が差す東の方向は光の関係で写真は撮れないので目で楽しむ。

 西側はもちろん撮ることができ、上蒲刈島がきれいに見える(左の写真)。

 

 大浦港はちょうど真ん中正面で、左に見える橋は現在建設中。この橋が出来れば船を使う必要は無くなる。
建設中の橋 
 遊歩道を戻り駐車場所へ。
 少しだけ左の道に行ってみる。ここからの景色もよく、展望台まで上がらなくても東側の展望ならここからでも十分かもしれない。

 駐車場所に戻って狭い山道を進み、次の目的地、十文字展望台へ。

 途中、建設中の橋がよく見える場所があったので1枚撮影。奥の高い山は七国見山。右手の山並みは野呂山。

 
十文字展望台
9:00
十文字展望台
 くねくねの狭い山道なので、実際の距離より長く感じる。

 距離的にはもういいだろうと思うくらいで十文字展望台の案内があるのでそこを左折。対向車が来たら困るような道を登り、山を回り込んだら円形のユニークな形の展望台のところへ到着する(左の写真)。駐車場とトイレあり。

 標高は309m。
 
十文字展望台から県民の浜 
 上の展望台の写真を見てもらえば分かるとおり、ここからの視界は360度!北側が少し面白くないが、他は海の展望が開けて素晴らしい。

 時間帯のせいか、西側の県民の浜方面の展望が美しい(左の写真)。

 南西に尾久比島、南に斎島、東に大崎下島があり、遠くにかすんで四国が見える。手摺に島が象ってあるので確認すると良い。

 大崎下島との海峡を見ると、少し南に小さな島が見える。雀磯と呼ばれる場所で、県鳥であるアビが見られるそうだ。
中腹より豊浜大橋 
 2つの展望台で展望を楽しんだので港に下りることにする。先程の分岐に戻る。

 大きな地図では道の記入が無いが、このまま進めば下りられそうなので行ってみることにする。だいたい行きたい方角に向かっているので「大丈夫だろう」とぐんぐん下る。割といい道がついている。

 豊浜大橋がよく見える景色が良い場所があったので撮影(左の写真)。

 いくつか分岐があるが、港方面に行くだろう道を選択して下る。民家が近くなると道が狭くなり、山道に慣れている私でも少々神経を使う。島の道は狭いのだ(^_^;

 次の目的地は雄こんの滝。
 事前にいろいろと調べたが、場所がよく分からなかった。地元の人に聞くしかないと港の方のお店で場所を訊く。文章の説明では分かり難いかもしれないが、豊浜大橋から南に進み、右手に島の案内看板があるところを右折。民家の間の狭い道を道なりに進む。川に沿って登るとお堂に突き当たるので、急な左カーブのところに1台分の駐車スペースがある。
 
雄こんの滝
9:55
雄こんの滝 
 お堂の横に雄こんの滝の案内があり、お堂脇の道を進む。結構歩くのかと思えば、川が曲がったその奥に水量のない滝が見える(左の写真)。

 滝と言うには水量が少なすぎて「滝?」と疑いたくなるが、大きな山が無い島としては大きな滝である。

 説明板には五丈とあるので、15mくらいの落差のようだ。しかし、7mとか25mとかいろいろ説?があってよく分からない(^^;

 左の写真では滝という感じがしないかも(@_@?

 港のほうに戻り、次の目的地、室原神社へ。ここにはホルトノキ群叢がある。
 町の中は車が通れないほど狭いので、港の適当なところに車を置き、町の北側の尾根の張り出しに沿って広めの道を歩いて入ってゆくと、神社の鳥居が見えるのでそこに入る。
室原神社
10:18
室原神社 
 ここは、「豊浜のホルトノキ群叢」として県の天然記念物に指定されている。

 最大のホルトノキが2m強なので、巨木と言うには少し小振りなのだが、鬱蒼とした鎮守の森で大木も多い。神社の前は開けていていて神社の雰囲気はあまり無いが、山の斜面がびっしりと木々で覆われている。

 シイノキ、クスノキ、クロガネモチなども見られる。

 室原神社を出て、昼食には少し早いが、おやつにお好み焼きを食べることにする。
 事前に調べておいたお好み屋さん「まりちゃん」を目当てに探すが、島の港町の路地は細くて迷路のような場所なので方向感覚が狂ってしまう(笑)。海側の道に出ると、島のお年寄りがずら〜っと並んで座って日向ぼっこ?していて、余所者は少々場違いな感じがする(^^;知っていそうな人に場所を訊き、狭い路地を入ると発見。ここは人に訊かないと分からないだろう。
 久しぶりに広島風お好み焼きを食べたが、ここのお好み焼きはおいしかった!昔はこんな感じのお好み焼き屋さんがあったものだが、最近は少なくなってきている。

 豊浜の町は、別に町並みとして有名なところではないが、昔ながらの島の港町の雰囲気を残している場所なので、島に訪れることの無い人にとってはノスタルジックな雰囲気に浸れるかもしれない(写真を撮っておけばよかったかな?)。

 車に戻り、豊浜大橋を渡って大崎下島に渡る。渡ったところに日本一のジャングルジムがあるので、興味のある方はどうぞ。そういえば最近公園でジャングルジムを見なくなったような気がする。危険との意見もあるかもしれないが、腕力やバランス感覚などが養えるのであった方が良いと思うが...

 海岸に下りて豊浜大橋を撮影(冒頭の写真)。海の色が良いので、白い橋と写すと絵になる。

 海岸線を北上して次の目的地、大岐神社に向かう。
 立花港(ここからもフェリーに乗れる)を過ぎてまもなく、右手少し奥に大きな木が見えるので右折。鳥居から少しだけ離れたところに空き地がるので車を置かせてもらう。
 
大岐神社のムク
11:35
大岐神社のムク 
 鳥居のすぐそばにも大きなムクノキがあるが、お目当てのムクノキは神社の中央付近にある(左の写真)。

 幹周り6.9m、推定樹齢600年という。

 やはり傷んではいるが、ゴツゴツしたコブが老樹の雰囲気を醸し出し、静かな威厳を漂わしている。境内が公園になっているので神社独特の神聖さは薄いが、存在感抜群のムクノキの巨樹である。

 入口付近の大きなムクノキのほかにも、イチョウの大木も見られる。また、切り株だけだが樹齢400年ほどのクロマツの巨樹があったようだ。マツは全国的に松くい虫の被害でやられているので、マツの巨樹は大変貴重である。元気なときに見たかった。
一峰寺山中腹より久比地区を見下ろす 
 次の目的地、一峰寺山に向かう。
 海岸線を走り、久比地区から山に入る。説明しにくいが、ループして上がる道が見えるので、そこに乗るように進む。

 やはり狭い道を登る。中腹から付近の様子を撮影(左の写真)。

 みかんの季節はずれているのだが、実のなる季節は山の斜面が黄色くなるだろう。
一峰寺山
12:10
一峰寺山のお宮 
 案内にしたがって登っていく。
 途中左斜めに登っていく山道があったので、路肩に車を停めて歩く。400m歩けば山頂の水分神社に到着。お宮の中にお宮がある面白い造りになっている(左の写真)。

 アベマキ、ノグルミ、クロキ、コナラなど樹木名の書いたプレートが掛けてあり、公園風にしているようだ。さて、どれだけ利用があるのかと心配してしまうが...

 ここからの展望はいまひとつ。
一峰寺山の展望台から
 車に戻り舗装道路の一番奥まで進む。行き止まりには展望台が作ってあり、ここからの展望は抜群によい。

 真下の町がミカンで有名な大長。橋でつながっている島が、左から平羅島、中ノ島。右手の島が岡村島。その間に浮んでいるのが小島。向こうに見えるのは大崎上島である。

 この展望台から先程の山頂まで遊歩道がある。

 次の目的地、宇津神社へ向かう。元来た道を引き返し、久比地区に下りて東進。大長地区の中心部に行くと、何やらお祭をしていたので、広場に駐車して露天を覗いたりした。南側の港の奥に進み、川に沿って更に奥に行くと宇津神社がある。駐車スペースはあるので車で直接来ても大丈夫だった。
 
宇津神社の
ホルトノキ
13:30
宇津神社のホルトノキ 
 この神社に来た目的はもちろんホルトノキの巨木。豊浜町の室原神社は最大のものが2m強だったが、ここには2本の巨木がある。

 幹周りはそれぞれ4.6mと4.4mで広島県第1位と2位のホルトノキである。

 損傷が多く、樹皮が剥げているところもあるのが心配なところであるが、重量感のある巨木である。島らしく周囲が狭いので、窮屈そうに見えるが、その分余計に大きく感じる。
雁木 
 ついでなので、大長の港の雁木を見に行く(左の写真)。

 新しいものもあるが、古い雁木も見られる。みかんが全盛だった時代は、ここの多くの農船が止まっていたのだろう。

 左の写真は北側の港だが、南側の港にもある。

 最後の目的地、御手洗地区へ向かう。車なら大長からすぐ到着する。御手洗地区の看板が見えたら、その周辺に(海岸のほうに)空き地があるので、車はここに停めて後は歩きで散策する。

 まず、散策順路の確認ため、観光案内所となっている潮待ち館に向かうと良い(案内があります)。そこで地図を貰ってそれを見ながら歩く。地図には町の見所が書いてあるのでとても参考になる。
 
御手洗の町並み
14:00
御手洗の町並み 
 御手洗地区は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。事前に予約していれば地元のボランティアガイドに案内してもらえるようなので、ある程度の人数で行くのなら頼むと良いだろう。説明してもらいながらだとよく頭に入るものである。

 地図に書いてある順路どおり、天満宮に向かう。梅が咲き始めていた。見頃はもう少し後だろう。クスノキの大木があったが、大木の多いクスノキは、幹周り5m以上ないと写真を撮る気がしない(撮りましたけど)。

 次に若胡子屋へ。かつてお茶屋だったところである。お茶屋と言ってももちろん喫茶店ではなく、遊郭である。100人以上の遊女がいたそうで、中に入ると遊女の物語を漫画にして掲示してある。人権なんていう概念がなかった時代の女性たちの物語である。

 町並みの中を進み、松浦時計店、乙女座と過ぎる。海に近づくと七卿落ち遺跡がある。海のほうに行くと雁木が残っている。

 
模型船 
 ここから海に沿って南下すると、模型船を作っているところがあったので入ってみる。

 ここで作っているのは、かつて船大工をされていた方で、今は模型船を作っておられる。船大工だっただけに、模型と言えど見事な造りである。
千砂子波止 
 海岸沿いの道を歩くと千砂子波止が見える。

 少々歩き難いが、いろいろな大きさの石で組んでおり、普通のコンクリートの波止とは違って面白い。

 再び町の中に入り、歴史の見える丘に向かう。
 登り始める場所が分かり難いが、大きなグラウンドのあるところから階段が上がっている。クスノキの大木を見ながらぐんぐん登る。平坦になって「この辺か」と思っていると、前方に急階段があってため息が出る(笑)しかし、距離はたいしたことは無い。急階段を登ると展望の良い歴史の見える丘に到着する。
 
歴史の見える丘からの展望
 やはり瀬戸内海は美しい!
 一峰寺山から見下ろした風景も良いが、ここからの景色も良い。手前下に見えるのは御手洗地区、左手の町が大長地区である。
 
みかん畑 
 瀬戸内海に馴染みのない人には面白いと思うので、おまけに1枚。

 左の写真に写っているレールは、急傾斜に続くミカン畑の中を通っており、移動やミカンの収穫に使われる。ミステリー作品の中では、アリバイトリックに使われたりする(笑)
御手洗の町並み 
 あまり良い写真が撮れなかったので今回は町並みの写真の掲載数が少ないが、御手洗はなかなか雰囲気のある町並みである。

 左の写真のように、各家で表に花を飾ってあって好感が持てる。

 こうしたちょっとしたもので町の印象が随分と違ってくる。

 高齢化の問題などいろいろあるようだが、後世に伝えていきたい町並みだと思う。
豊島港
16:07

大浦港
16:30

 御手洗の町を去り、フェリーに乗るために豊島港を目指す。途中の立花港からも乗れるが、行ってみると車がわんさか停まっていて入れなかった。これはヤバイなぁ〜と思いながら豊島港に行ってみると、案の定たくさんの車が順番待ちをしていた。次の便になるかと覚悟していたが、なんとか最後の1台になり16時07分の便に乗ることが出来た。

 初めての島だったが、景色も堪能できたし、巨樹巨木にも出会え、町並みも楽しめた。まだ行っていないところはあるが、次はどこかゆっくりと過ごしたいと感じた。遠く離れた斎島ものんびり出来て良いかも知れない。御手洗の町並みも今度はゆっくりと撮影しながら回るのが良いかもしれない。島は暖かいので、冬の旅には最高である。

 新しく呉市になった島々に皆さんも出かけてみてください。
 

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