広島県の大樹

【樹齢】:500年
【樹高】:8m
【幹周】:6m
【指定】:
 ニレ科   <楡>

えみき爺さん 広島県三次市三良坂町灰塚 のぞみが丘

えみき爺さん 
 灰塚ダム建設のため水没した棗原集落にあったムクノキの巨樹。

 平成17年(2005年)7月に棗原から、ダムで水没した地区の人々が移転したのぞみが丘の中央にあるえみき公園に移植された。

 本来の場所でもすでに樹勢の衰えが見られており、それを移植するとなると多額の費用が掛るだけでなく、新しい場所に根付くかどうか成功率は低いとされたが、この木に愛着を抱く人々の強い思いによって移されたそうである。

 移植後はずっと養生されていて、包帯のように布を巻かれた姿であったが、現在は包帯も取れて元の姿を現している。

 以前訪れた時に、包帯の間から(少しだが)葉っぱを展開したことがあり、何とか生き続けているのだと安心していたのだが、葉っぱが出始めるこの時期になっても緑が見られないので、この場所で再び生気あふれる姿を見るのは難しいのかもしれない。
 
 ムクノキは元々大きく空洞化する樹種で、各地の巨樹もやはり大きな空洞を持っていて、”皮”だけの姿で立っていることが多い。推定樹齢は500年だそうだが、ムクノキ自体の寿命が(移植した・しないに関わらず)近付きつつあるように思われる。
えみき爺さん 
 樹種はムクノキだが、当初エノキと思われていたそうである。ムクノキとエノキの混同は各地でよく聞く話で、鋸歯の形が違うのだが、葉っぱの雰囲気は良く似ている。

 この木は「えのみのき」と呼ばれていたそうだが、「笑み木」ということで「の」を取って「えみき」爺さんになったとのことである。なお「えのみのき」はエノキの別称のようで、”エノキの実の生る木”の意か?

 この木がある公園には何かモニュメントを作る予定だったそうだが、訳の分からない見知らぬ芸術家の彫刻よりは、昔から親しんだこの巨樹が立っている方が人々の心に響くものがあろう。

 この場所はのぞみが丘の中心にあって、交差点の角にある。ここから北に進んだところに新しく作られたこの地の信仰の中心となる宗像神社があり、この木が神様のもとに向かう目印になっているとも言えるかもしれない。
えみき爺さん 
 再び芽吹くかは難しいところかもしれないが、人々に愛された巨樹であるので、もう少し生き続けて欲しいものである。

 こうして改めて見ると、造形的に美しく、下手な彫刻よりも印象深いものがある。

 (2009年4月11日撮影)


 <アクセス>

 庄原ICを降りて左折し、すぐの交差点を左折。500mくらい進んで県道61号線に左折。道なりに進み、県道78号線に合流したら左折(総領方面)。まもなく大きな敷地の家が建ち並ぶのぞみが丘に入り、その中心の交差点の右手に見える。
 駐車場は無いが、交通量はあまりないので、県道以外なら(県道はスピードを出す車があるので危険)路肩に停めても良いだろう。
 
 

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