TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

英彦山 (ひこさん) 99/11/20
福岡県/大分県

紅葉 
 
 いろいろと山に登っていると、頂上などに祠が作られている山に出会うことは少なくない。
 古来から信仰の対象とされた山は数多く、その代表格は霊峰富士であるが、他に日本三大修験場として出羽の羽黒山、大和の大峰山、そして今回紹介する英彦山が挙げられる。
 

 
 大分の方に用事があり、ついでに九州の山の有名どころに登ろうといろいろと検討しこの英彦山に行き着いた。名前はよく聞いていたので以前から登りたいと思っていたのでちょうどよい。ついでに九州に住んでいたときに車から見えた特徴的な山容の大分県玖珠町の万年山(はねやま)も翌日登る事にする。

 
 小倉東ICを下りて国道10号線を大分に向けて南下し、行橋市に入ってから国道496号に入りさらに南下する。大分県との県境の野峠で右折し国道500号に入り、間もなく登山口となる高住神社に到着する。周辺の駐車場はある程度車で埋まっていたが、割と広く出店も出ているところを見ると観光地化されているのか。 人が多いのは嫌だが、この駐車場周辺の紅葉が美しいので良しとしよう。この年は紅葉は不作だったので殊更嬉しかった。
 

 
 英彦山の登山口はこの高住神社と奉幣殿からの2つがあり、山頂の英彦山神社に参拝するのなら後者のほうが参道になっているので正式な道だろう。しかし、展望が良いという望雲台に寄るので前者の道をとる。
 
奇岩 
 高住神社の鳥居を潜り石段を登り、間もなく高住神社に着く。背後には耶馬溪で見られるような感じの大きな岩がそそり立ち、異様な雰囲気が漂う。山道に入ると逆鉾岩、筆立岩などと名づけられた奇岩を目の当たりにすることが出来る。
望雲台からの展望 
 
 そうこうしていると目的の一つ望雲台の分岐に着く。少し奥に行くとV字になった岩の急斜面があり、鎖が取り付けられている。危険というほどではないが腕の力の弱い女性には少々難儀するかもしれないので気をつけて登ろう。
 この岩を登りきってさらに奥に行くとまた鎖があり最後の登りとなる。登りきると鷹ノ巣山が大きく見え雄大な景色が広がる(写真の切れ目がもろに見えますが)。
 
 景色を堪能した後は鎖場を下ることになるが、下りのほうが危険なので十分注意すること。
 
 分岐に戻り英彦山北岳を目指して登るが修験場といわれる山だけあってかなり急坂である。ペース配分を考えながらゆっくり登っていると約40分ほどで一本杉にぶつかる。ここからは尾根道で道も良いので快適な山歩きが楽しめる。葉が落ち裸になったブナの林の中を10分ほど歩くと北岳山頂(1192m)に到着する。山頂には祠と磐境(いわさか:結界が施されている)がある。
 
尾根道 
 ブナの美しい林と秋の青い空を堪能しながら英彦山神社のある中岳を目指す。尾根道からは社が見えるので気が楽である。楽しい尾根歩きを30分ほど満喫すると1200mの英彦山山頂に着く。
 
 さすが人気のある山だけに登山者も多いが、山頂は広いので適当なところで腰をおろし弁当をほおばる。
 山頂を示す柱と記念写真を撮った後、英彦山神社に赴く。
 車道が取り付いていない山頂の社としては立派だが山小屋だと言えなくはない(信心の無い者の感想とはこんなものである)。
 しばし展望を楽しんだ後下山にかかるが、同行者が来た道を引き返すのは(北岳から高住神社へ下る急坂が)怖いというので、同行者には奉幣殿へ下ってもらい、私ひとりだけが車があるので高住神社へ下った。
 
 下山後、奉幣殿近くの駐車場に車を回し合流した。もし同じ方法を考えている人がいるならアドバイスしておくと、神社下の駐車場は全て有料なので、少しは遠いが別所駐車場に車を置いて合流するといい。迎えに行くだけだったので駐車料金を惜しんでいると「広島から来てケチケチするな」と駐車場の人に言われ嫌な気分になった。無論、有料駐車場には意地でも止めなかった(苦笑)。
 
 ちなみに中岳から奉幣殿に下る道は延々と石段が続き、同行者に言わせれば2度と行きたくないとの事である。修験場のある山の道であるからきついのは仕方ない。体調にも関係するだろうが。

 
 紅葉自体は登山口周辺が良く、山頂部は葉っぱが落ちた状態だったのでブナの紅葉の時期がどんな感じかは分からないが、紅葉していなくても尾根道は気持ち良く、印象的だった。
 奇岩が立ち並ぶ異様な雰囲気と尾根道の軽快さ、石段の続く長い参道といろいろな側面を見せてくれる山である。また、植物も豊富ということなので別の時期に来てみるのもいいかもしれない。

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