TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

寂地山 02/8/25
山口県玖珂郡錦町

ホツツジ 
 このHPを開設してから1年以上経つが、開設以前に登った山については大してメモを取っていないため、写真があってもページを作成できない山行がいくつもある。
 という訳で、昔登った山にもう一度登ろうと、5年前に登ってから一度も登っていなかった山口県最高峰、寂地山に登ってみた。
 
 広島西バイパスで宮内交差点まで進み、吉和村に向けて県道30号を走る。道の駅スパ羅漢でトイレ休憩し、更に進む。ライダー達がいく人か休んでおり、道路を走っていてもカーブで体を傾けて走り抜ける姿を多く見かけた。まもなく冠高原に向けて左折し、松の木峠を越え、長い下り坂を下る。高速道路の高架下を通り、新しくなった寂地峡の看板に従って右折する。寂地峡の駐車場は朝早いにもかかわらず多く車が止まっており、道路脇にも止められている。キャンプ客が多いようだ。
 

 
 以前寂地山に登ったときはここの駐車場に止め、林道をひたすら登ったが、今日は車で入れるところまで行くことにした。
 道幅は狭く、草がせり出し、道路には大きなくぼみがある。手入れされていないことは明白なので、オフロード車でなければ未舗装路は危なかろうと判断し、舗装してある犬戻峡の入口から登ることにする。駐車スペースは5〜6台。
 
シコクママコナ 
 いきなり階段のある急坂を登り、犬戻峡の滝が見える場所に来る。ある程度枝打ちされているようだが、手前の木が邪魔で滝の展望はいまひとつ。遊歩道の側にミヤマウズラが咲いていたが道端のためか傷んでいた。岩場に咲くホツツジ(冒頭の写真)を見ながらやがて犬戻の滝に着く。
 
 樋を流れ落ちるような滝で、落差も勢いもあるが、先日徳島の百名瀑を見たためかさほどの感慨は湧かない。ただ、さすがに名水と名高い寂地山の水であるので大変きれいだ。
 
 犬戻の滝からジグザグに高度を稼ぎ、林道との合流地点を目指す。
 
 中が黄色いシコクママコナ(左の写真)がちょうど盛期のようで遊歩道沿いにいくつも見られる。
 
 入口から30分ほどで林道と合流する。
 
 寂地山山頂まで3.3qという標識にがっかりしたものの、10分ほど休憩してダートの林道を1.3q歩く。以前来たときは、通りすがりの人に車で連れて行ってやろうかと言われ、これ幸いにと車に同乗させてもらったが、未舗装路でえぐれた場所があり、降りてくれと言われて降り、えぐれた場所だけかと思いきやそのまま行かれてしまい、林道を大回りする羽目になったという思い出がある。
 
ツルニンジン 
 林道沿いには、シコクママコナ、ツルリンドウ、アカソ、シシウド、ノウド、キツリフネソウ、ミゾソバ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ヌスビトハギ、ツルニンジン(左の写真)などが見られ、味気ない林道歩きに賑わいが加わる。
 写真を撮りながらだったので約40分ほどかかり、ようやく登山口に到着する。10台以上は止められるだろう。まだ車は1台も止められていない。
 
 最初は、段差の高い階段のスイッチバックで高度を稼ぐので少しきつい。渓流のそばを通るが今日は蒸し暑くあまり涼しくない。渓流から離れ急なスイッチバックがまだ続き、後1.5qの標識でがっくりくる。 
 ようやく急な坂が終わり、平坦路が始まる。
 
クサアジサイ 
 クサアジサイ(左の写真)の薄い赤色の花が登山道脇に並び出迎えてくれる。
 
 少し勢いがないものが多いが、ここまでクサアジサイが咲いているところは初めてだ。
オオマルバノテンニンソウ(ツクシミカエリソウ) 
 また見慣れない花を見つけた。テンニンソウのようだ。赤い花なのでオオマルバノテンニンソウ(ツクシミカエリソウ)だろうか(左の写真)。
 
 葉っぱは虫に食われたものが多く、花も多くの虫たちを集めている。よほどおいしい草なのだろう。花を付けているものは2割程度なので来週以降がちょうど良いだろうか。オオマルバノテンニンソウとクサアジサイがこの時期一番多いようだ。
 
 ちなみに天人と聞いて連想するのは羽衣伝説。水浴びをしている隙に羽衣を隠され(盗まれ)天に帰れなくなって地上に残るというものだが、これに類する話は世界各地にある。
 北欧神話のヴァルキュリア(英名ワルキューレ)、スコットランドのローン、天女の元となったインドのアプサラス、キンナリーなどで、結末も人間と結婚したり、羽衣を見つけて天に帰ったりと様々。テンニンソウの名付け親はどういう意図で名付けたのか。
 
 クサアジサイやテンニンソウは予想していなかった出会いだったが、今日のお目当てはアケボノシュスランだった。以前比婆山のブナ林で見つけて写真を撮ったのだが、ブレてしまったのでもう一度撮影したかったのだ。ブナ林の残る山でこの季節ならばいるはずである。
 
アケボノシュスラン 
 小休止を取り歩き始めると、草の陰に殆ど白の薄いピンク色のアケボノシュスランを見つけた。
 数自体は少ないが、鳥の嘴のような花がいくつも並んでついている様はなかなかかわいい。
 
花を開いたものは少なかったが、一部群生している場所も見られた。
 
 あと、1q、あと0.5qと通過しようやく稜線の分岐点に着く。
 左に行けば南寂地山、右谷山への縦走路。数分休憩をとり右の寂地山への道を登り、10分ほどで比較的広い寂地山山頂に着く。展望は得られないがブナの木の中なので気分はいい。
 
 ブナの木の根元に小さな祠があるが、誰が置いたのか招き猫が置いてある。信仰に厚い人、無神論者、宗教に関心のない人などいろいろいて構わないのだが、少なくともこういった行為は感心できない。
 
 寂地山は確実に良く知られた山なので登山者も多かろうと思っていたが、午前中に会った人は一人で、追い抜かれた後、再び会わないところを見ると右谷山か冠山へ縦走するのだろう。
 
 山頂のベンチで昼食を摂り、下山する。下山途中でカナダから来られた家族が、赤ちゃんを背負子に乗せて登っているのに出会った。せっかく外国の方が登っているというのに、祠に招き猫が置いてあるというのはちょっと恥ずかしい。所有者は誰か知らないが、持って帰った方が良かっただろうか…。
 
登山道 
 この山の下りもいい加減長い。以前登ったときはそんなに長い気はしなかったのだが、長い林道を歩いたので短く感じたのかもしれない。
 
 ようやく登山口に戻る。先程のカナダからの一行が乗って来たらしい車が2台止まっていた。赤ちゃんのおじいさんだろうか年輩の方が一人車のそばで待っていた。
 
 また林道を歩き犬戻の滝へ下る。犬戻峡では、沢登りをする一行がおり、滝のそばをよじ登っていた。水のそばで涼しかろうが、緊張の糸を張っているので逆に汗をかきそうだ。
 
 
 軽装の人たちが犬戻の滝へ向かうのに何度か会った。人気のある場所だと再認識した一方で、話はそれるが、我がふるさとの滝はどうなんだろうと心配になった。
 
 呉の深山の滝は滝壺が土砂で埋まり、広町の二級峡はダムの放水がなければよどんだ汚い水が溜まり、ごみは散らかし放題。下流の白糸の滝(地元の人は小滝と呼ぶ)は人が訪れているようだが、十何年訪れていないのでどうなっているのか。遠隔地ばかり訪れているが、地元の自然にももっと目を向けた方が良さそうだ。
 
 帰りに見ても寂地峡のキャンプ場はいっぱいだ。百名瀑の「五竜の滝」に登る人も多いだろう。
 
 百名水に選ばれるほどのきれいな水だから人も集まってくるのだろうが、この大切な水を守るため、ごみの持ち帰りなど基本的なマナーは最低限守りたい。
 

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