TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

韓国岳2 (1700M) 00/6/10
鹿児島県

つつじヶ丘から開聞岳を望む

 

 
 ミヤマキリシマの名に惹かれバスツアーに参加したのは昨年のこと。
 
 薩摩富士こと開聞岳とミヤマキリシマ咲く霧島山の主峰韓国岳を登るツアーだった。
 
 目当てのミヤマキリシマは満開だったが、あいにくの雨で視界が悪く山頂からの展望は望めなかった。
 
 今回は韓国岳オンリーのツアーであるが、前回見逃した山頂からの展望を期待し再度の参加である。

 天気予報はくもりで、降水確率は五分五分といったところであり、雨が降らないことを祈りつつ、薄明のえびの高原に入った。バスの車窓から韓国岳を見上げると霧の中にその姿を隠しており、今回もかと不安がよぎる。しかし、登山準備をしている内に我々を待っていたかのようにその白き衣を脱いだ。

えびの高原を見下ろす

 
 今回の目当てのひとつであるミヤマキリシマは、数日前のNHKで えびの高原のミヤマキリシマが紹介されており期待していたのだが、花は確かに咲いているが勢いがなく、少し萎れたものが多かった。
 
 山登りと同時に写真を楽しむ私としては、クローズアップで作画できないというのでは写す楽しみが半減してしまう。もっともツツジの花は大きく写そうとするとフレーミングが難しいので、慌ただしいツアーに合わせながら撮影するのは大変なのだが……。

 今回のツアーは40名もの団体での山行なので、写真撮影という点では比較的フリーに動ける最後尾に位置した。今回で2回目なので雰囲気がわかる分、みんなについて行かなくてはならないというプレッシャーがなくて(無論、団体行動を乱すことはしない)気分的に楽な山行である。

 
 まず最初に、えびの高原の駐車場から硫黄山を目指す。近づくにつれ硫黄の臭いが鼻につき、「立入禁止」の看板が見える。硫黄山自体はそれほど大きなものではなく、白い岩肌に硫黄の黄色が見えるが、山というより「丘」という感じがしなくともない。火山が活動しているという雰囲気は感じるものの、この霧島の山々の中では小さく感じてしまう。

 
5合目付近からえびの高原を見下ろす
 
 韓国岳登山道に入り比較的急な登りを5合目まで登って行く。この5合目に来れば眼下にえびの高原はもとより、白鳥山、白紫池、御池、不動池、甑岳を見渡せる。早朝のため山に霧がかかり、いかにも高い山にいるのだと感じる。
 
 これらの山々はすべて道がついており、池めぐりは紅葉の頃にはすばらしいとのことなので今後の計画に入れておくことにする。また甑岳の山頂には国の天然記念物に指定されたモミ、ツガの針葉樹林があるとのことなのでこれも頭に入れておこう。
韓国岳爆裂口

 
 
 高度を上げるにつれ、右に大浪池、左には韓国岳の爆裂口が見える。大昔に溶岩が突き破ったであろうそこからは霧が見え、火口に白き海が漂っていることが予想される。

大浪池とミヤマキリシマ

 
 
 前回来たときはミヤマキリシマがかなり咲いていたのだが、今回は花をつけていないものが多くあった。ガイドさんの話によれば今年は花の付きが悪いとのこと。クローズアップに耐える被写体(ミヤマキリシマ)もなさそうなので、色としてその赤をもらい、大浪池をバックにフレーミングした。

大浪池とミヤマキリシマ

 
 快晴ではないものの、期待していた高千穂峰の秀麗な姿を目に出来た。縦走も可能な新燃、中岳、高千穂峰の稜線が一望でき、いつか縦走しようとまたひとつ計画が付け加わった。

 韓国岳の火口は、完全に快晴?で、白き海も消え失せておりすべてが見渡せた。運が良ければ鹿が見えるそうだが、今回は残念といったところか。また、爆裂口を内側から見るとその隙間から丁度甑岳を展望できた。

 韓国岳は、韓国まで見ることができるから、その名が付いたというが、北に1600メートル近くの阿蘇山もあり、いくら1700mあると言っても見えないのではないだろうか。それだけ大きな山であることを表すための表現なのかもしれない。

韓国岳から高千穂峰を望む

 
 下山後はミヤマキリシマでいっぱいのつつじヶ丘に立ち寄り、撮影ポイントを探す。やはり花の勢いがなく、花だけで絵を構成するのは難しいようなので韓国岳と一緒に撮影する(冒頭の写真)。 三脚を立て、撮影する姿を見かけたが、どのように撮ったのだろう。

 韓国岳は2回目なのだが、2時間程度で登れ、景色もよく、ミヤマキリシマという名脇役(主役?)もあり、私の好きな山のひとつである。上でも書いたが、池めぐりに、縦走と何度も季節を変えて楽しめそうである。2回ともミヤマキリシマの時期に来たが、秋にはえびの高原の名の由来となったえび色のススキに、火口内(池内)の紅葉と見るもの、撮るものは豊富に揃っているようだ。ツアーではなく個人で来て、ゆっくりとこの自然を楽しみたいものである。

 そうそう、世界でここだけしかないという天然記念物バラ科のノカイドウを忘れるところだった。山の楽しみは多い。急がしや、急がしや……。


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