TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

猫 山   00/9/24
広島県比婆郡東城町

ゲレンデを埋め尽くすススキ 
 花を撮影していると、「希少種」という言葉に敏感になる。
 
 別に写真に撮った花の種類の多さを誇りたいとは思わないが、新たな被写体に出会いたいと思うのは自然なことと思う。
 
 今回紹介する猫山はネコヤマヒゴタイという希少種が自生する場所とガイドブックにあるのを見つけ行くことを決めた。
 
  しかし、花期が分からない。山のガイドブックに花期が書いている場合が非常に少ないのでいつ行けば会えるのか分からない。
 インターネットで検索してもめぼしい情報がない。
 植物図鑑のページでネコヤマヒゴタイを検索しても該当無しとなる。
 
 
 そんなこんなで、植生豊ならば何か花がいるだろうという安易な気持ちで山に向かう。
 
 庄原からまず広島県民の森方面に車を走らせ、県民の森への分岐を見送り、アイスクリーム屋さんを過ぎ、キノコセンターを過ぎ、スノーリゾート猫山の案内に従い右折する。別荘地に入る細い道をやり過ごし、少し先に空き地(駐車場)があるのでここに入る。登山口は入って右手の奥になるので家のある方へすすみ、適当なところで止める。
 
 猫山の登山道はスキー場の脇を登ってゆくことになるので傾斜がきつい。しかし、ゲレンデはススキに埋め尽くされ太陽光が穂を光らせている(冒頭の写真)。
 
 スキー場のリフトのてっぺんでいかに急斜面だったか改めて振り返る。
 ここから比較的水平道となる。本格的な登りとなる尾根道にとりつく道で、途中「山上さん」と呼ばれる祠を過ぎる。
 山頂にある祠はそれほどでもないが、こうした暗い森の中で祀られていると信心のない人間でも畏怖の念を感じてしまう。
 
 さて、この猫山の登山道は全般的に狭い。下手によそ見して歩くと足を踏み外し急斜面を転がり落ちそうな道が続く。よそ見できにくいからというわけではないが花はあまり見つけることが出来ない。アキノキリンソウと白いキクがところどころに咲いているだけである。
 
 やがて尾根に出て本格的な登に入る。相変わらず急傾斜で道は狭いが景色はまずまず。アザミのなれの果てのような花を見つけるがそのまま写真も撮らず素通りした。
 急坂にあえぎながら山頂に着く。アキチョウジの花が一人だけひっそりと咲いている。三角点は木々に囲まれたところにあるので、ガイドブックにあるとおり南に行ったところにある景色の良い場所に行く。
ワレモコウと小奴可
 ここからの眺めは良く、小奴可方面を見下ろせる。地図記号で「小奴可地形」というものがあるらしいが、後でこの事を知ったのでどこが特徴的なのかよく分からなかった。
 
 しかし、島根県の岩見冠山の山頂から見た「陸の松島」に似ていて写真に納めたい雰囲気がある。
 イヨフウロウ、オミナエシ、ワレモコウが咲いているが、勢いが無く辛うじて咲いている感じ。しかし景色は良いので弁当を広げ(といってもいつもコンビニ弁当だが)、心地よい風に吹かれながら昼食を摂る。
 
 さて、問題は下山時。
 自慢ではないが山道で私がしりもちをつくことはほとんどない。花を探しながらなので普通の人より危険な下り方だが、ある程度の経験があるのでひどい転び方をすることはまず無い。
 
 合計5回しりもちをついた。
 
 蛇紋岩質の山なので滑りやすいのは確かだが、ここまで私が滑るのは珍しい。道の狭さも影響していようが、同行者は滑っていない。猫山と相性が悪いのか、はたまた、「山上さん」に嫌われたのか。
 おもしろいキノコは見つけたが、目当てだったネコヤマヒゴタイは見つからなかった。いつもは膝ががくがくすることがないのに今回はひどい。己の体力を過信するなとの教えだろうか。
 

 
 ところで私はひとつ大きな過ちを犯していた。
 
 ネコヤマヒゴタイの花の形を、同じく希少種で、球状に花を付けるヒゴタイと同じだと誤認していたのだ。
 道理で見つからないはずである。ネコヤマヒゴダイの花の形はホクチアザミのような感じである。
 もしかしたら、くたびれたアザミと思ったものがネコヤマヒゴタイだったかもしれない。写真も撮らず、ろくに観察もしなかったので今となっては分からない。
 
 やはり予習は大事である。
 

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