TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

大野権現山+おおの自然観察の森 02/10/14
広島県佐伯郡大野町

ベニマンサクの紅葉 
 マンサクといえば早春の渓谷に咲く黄色いマンサクの花を思い浮かべるが、秋に咲くベニマンサクはその名の通り赤い花で、ハート形のその葉っぱの紅葉も見事と聞いているので、おおの自然観察の森に行ってみた。

 それだけではもったいないので、その背後に聳える大野権現山とおむすび岩にも登ることにする。


 広島西バイパスを通り廿日市ICに入り、次の大野ICで下りる。無理に高速を使わなくてもよい距離なのだが、こちら方面の土地勘はなく、ナビをしてくれる人もいないので、分かり易い高速道路を使った。ちなみに350円。大野ICを下りて左折し、すぐを左折する。高架下を通り、川の近くに来ると案内に従って左折する。後は川に沿って道なりに進めばよい。狭いところも多いので運転には注意。

 8時半頃到着するとゲートが閉まっている。9時からの開門だが、車が入れないだけなのですぐそばの広い場所に止めるが、10台くらい既に止まっている。来る途中にも止まっている車があるし、アカマツが多いので松茸採りに来たのかもしれない。

ヤマシロギク 
 ゲート横をすり抜け、すぐに駐車場に着き、園内に入ると早速ベニマンサクの紅葉が出迎えてくれる。光が作る鮮やかさはないが、朝のしっとりした光に包まれて何とも言えぬ美しさがある。
 
 まもなく管理棟に着き、入園手続き(署名だけ)とトイレを済ませる。写真が飾ってあるのでベニマンサクの紅葉やここで咲く花を確認する。
 
 幅広い道の端にはヤマシロギクの鮮やかな白い花が咲いている(左の写真)。
ベニマンサクの紅葉 
 ベニマンサク園に入ると朝の光を浴びた鮮やかな紅葉が目に入る。

 真紅の紅葉から、まだ色づいていない青い葉っぱまでのグラデーションが見事。
 
 カエデの紅葉の鮮やかさは好きだが、ベニマンサクの鮮やかさは不思議な魅力がある。ベニマンサクは一属一種の珍しい植物で、葉っぱが落ちる頃花をつけるが、実はまだ残っているという不思議な植物だ。
ベニマンサクの花 
 一部、花をつけている木があった。興味がない人が見れば、別段きれいでもない小さく地味な花。

 5弁花だが、表裏に咲くので10弁花のようにも見える。紅というよりブラッディーな色だが、光に透かしてみると紅色に輝く。
 
 ベニマンサク園を後にし、ベニマンサク湖沿いに歩く。ヒヨドリバナ、ツリガネニンジンはほとんど残花。相変わらずヤマシロギクが続き、時折コウヤボウキが現れる。おむすび岩の分岐を過ぎ、東屋のある広場で、案内に従って右折する。左手にもベニマンサクが続いてきれいだ。
 
 そのまま進み10分ほどで大野権現山の登山口の標識に着く。鬱蒼とした森の中は一人で歩くと寂しい感じがする。アカマツやスギ林の中を進み段々高度を上げ約30分程で尾根道と合流する。左が大野権現山で、右がおむすび岩。権現山へは0.8q、おむすび岩1qとある。先に権現山に向かう。
 
 下りが多く損した気分になりながらも、コウヤボウキやシコクママコナの花を見ながら歩を進める。展望の良いところに出て景色を眺め、また下ると急坂になる。登り切って水平道を行くとまた急坂になり、登り切って右に折れると山頂だ。分岐から30分弱。
 
 山頂はそこそこ広く、大野権現山の標識と祠がある。祠は荒れており、誰も管理していないようだ。「権現」であるから仏様を祀ってあるはずだが、その雰囲気はない。展望は南側と北側がいくらか開けている。
 
 小休止後、おむすび岩に向けて出発する。しだいに登山者と多くすれ違うようになり、この山の人気の高さを感じる。分岐に戻り、そのままおむすび岩に向かう。途中、地籍調査のためのポールがあり、そこは展望があるが、そこを除くとアカマツなどの林の中ばかりで展望が利かない。アップダウンの連続で、どこで区切ればよいか不明瞭だが、4つほどピークを超すと展望が開ける場所に着き、すぐにおむすび岩に着く。権現山から1時間弱。
 
おむすび岩と大野権現山 
 ヒョッコリと岩の上に乗った様は正におむすび。風化が起こした現象だがなかなかおもしろい。遠近を使ってトリック写真でも撮れそうだ。
 
 左手奥に大野権現山が見える。
 
 おむすび岩からは眼下にベニマンサク湖、遠くに瀬戸内海に宮島、傘山、河平連山、三倉岳、羅漢山などの展望が得られ気分がいい。多くの人がこの展望を楽しんでいる。家族連れも多く、ハイキングの山としてはちょうど良いのだろう。
 
 下山はおむすび岩が乗っている岩の側の坂を下る。ここから10分ほどは傾斜がきついので下るときは注意。次の10分は傾斜が緩くなり、やがてほぼ平坦路になる。分岐が数カ所あるが案内に従いベニマンサク湖に出る。おむすび岩から約30分ほど。
 
 途中の湿地帯でコケが枯れたように見えたが、雨の少なさが原因か。湿地を好む花もいそうな気がする。
 
ベニマンサクの紅葉 
 もう一度ベニマンサク園に寄るが人も多くなり、山登り以外の服装の人が多い。

 朝と違って光が多く差しているので紅葉に輝きが増している。「葉っぱを持って帰ったらいけんよねぇ?」という声が聞かれ、「いけないよと」心の中で答えた。

 ついている葉っぱを取るのはいけないと思うが、落ち葉ならいいだろうか?
ベニマンサクの紅葉 
 不思議なことに、ベニマンサクの花に気付く人はあまりいない。

 まあ、私も写真を撮る人間でなかったら多分気付いていなかっただろう。

 勉強不足で判然としないが、実や蕾と思われるものも見つけられた。
 
 
 ベニマンサクの紅葉のすばらしさを人から聞いていたので一度来てみたかったのだが、期待を裏切らないものだった。管理棟に飾ってあった写真を見ると、他の季節に来ても花が楽しめそうだ。
 

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