TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

恐羅漢山 02/7/27
広島県山県郡戸河内町

キノコ 
 広島県を中心とした山の紹介をしているのに、その最高峰に登ったことがないというのも何なので、晴天の中、広島県の最高峰であり、西中国山地の盟主、恐羅漢山に登ってみた。
 
 恐羅漢山一帯は県内有数の豪雪地帯で、「恐」の字がつくように、かつては山に入れば出て来れないほど恐ろしい山だったようだが、現在はスキー場が作られたこともあり、身近な山となっている。

 
 戸河内ICをおりて国道191号を進む。戸河内駅を過ぎて、信号のある場所の左手に橋があるのでここを左折する。橋を渡ってすぐを右折し道なりに進む。分岐がいくつかあるが、基本的に案内はあるので見落とさないように。また、狭い所も多いので対向車には注意。スキー場のすぐ下に来ると広い駐車場が2つあり、トイレのある建物のある下の駐車場に車を止める。
 

 
 今日のコースは牛小屋からゲレンデに沿って登り、恐羅漢山、旧羅漢山、夏焼のキビレと回ることにする。広すぎて登り口は分かりにくいが、駐車場を出て左に50mほど車道をたどり、建物の前でゲレンデ側に曲がり(右折)、建物に沿って舗装された道を数十m進む。舗装が切れたらゲレンデに向かって歩き出すと数十mで階段が現れる。
 
オオバギボウシ 
 往々にしてゲレンデを登る道は傾斜もきつく、日陰がないので夏場は暑い。広島県の最高峰だけあって、ゲレンデに吹き付ける風はひんやりと涼しく気持ちはいいが、それでも平地の気温が30度を超えているとやはり暑い。
 
 木々の中に入ると、いろいろとキノコが現れる(冒頭の写真)。キノコの知識はないが、傷んでいなければ良い被写体になる。キノコと聞くと食べられるかどうかが気になるが、専門家でさえ分からないことが多いそうなので、素人は写真を撮るだけにする。
 
 時折過ぎてゆく気持ちよい風に後押しされながらゲレンデを登ると、ネジバナやニガナなどが風に揺れている。ゲレンデのど真ん中に帰化植物のビロードモウズイカがすっと立っている。今日は快晴なので遠くの山まで見え、高度を上げてゆけば、後ろに深入山などが見える。
 
 オオバギボウシの白い大きな花、蝶や蜂が群れるヒヨドリバナ、咲き始めでまだ小さい黄色いオミナエシなどを見ながら、ようやくゲレンデの最上部まで登り切る。下から吹き上げる冷たい風が汗した体に心地よく染み渡る。夏山は何といってもこの清涼感がたまらない。
 
ブナの大木 
 これから木陰のある森の中を登る。花が少ない時期なのかヤマアジサイの花しか見えない。時折吹く風が気持ちいいとはいえ、時折休んではお茶を飲む。やはり夏場は水分補給が欠かせない。行程にもよるが、夏場は最低1リットルは水を準備しておいた方がよい。水場が多い山はこの半分でも構わないが、水が足りないと思いながら歩くのは辛いので、少々重くても準備している方がよい。
 
 登り始めて1時間ちょっとで恐羅漢山と夏焼のキビレとの分岐にぶつかる。恐羅漢山に向けて左折し、約5分で山頂に到達する。本当に今日は眺めがよいので、聖山、高岳、臥龍山、阿佐山山塊、鷹ノ巣山、カンノ木山、おそらく瀬戸内の山並みまで見渡せる。
 
 山頂は木陰が少ないが、一番乗りと思われ、誰もいないので少ない木陰で昼食とする。辺りを見渡すとまだ背の低いウバユリが咲いている。あとから来た人たちもこのウバユリを見つけて喜んでいた。車道沿いでも見られる特段珍しい花ではないが、車から見るのと、歩いて見るとでは印象は違う。
 
 昼食後、旧羅漢山を目指す。旧羅漢山は実は恐羅漢山よりも60pだけ高い。ずっと登山道沿いのササを刈ってくれているので歩きやすくはなっているが、刈ってそのままにしてあるのでちょっと滑りやすい。
 
 急傾斜というわけではないが、一度下ってまた登る道は損した気分になる。一番底の部分は大木が聳え、多少湿地帯になっている。
 
旧羅漢山からの展望(広見山、半四郎山)
 
 旧羅漢山に登り返し、岩の上に登る。はしごが掛けてある方はちょっと危険だったので、最初の岩を右に回り込み、その先にある岩の方に行く。倒木の上を歩くのでちょっと注意が必要。
 
 ここからの展望はすばらしく、吉和冠山、寂地山、大神ヶ岳、安蔵寺山、青野山、半四郎山、広見山など西中国山地の主だった山が見渡せ、台風が過ぎた後だからか空気が澄んでいるので日本海まで見える。これ以上高い山は付近にないので、すべてが見下ろすような展望となる。先日登った半四郎山は、約200mの標高差しかないのに、つぶれたように見える。
 
 
 展望を楽しんだ後、再び恐羅漢山に向けて進む。相変わらず天気はいいが段々と雲が多くなってきた。恐羅漢山の山頂は数グループ登ってきており賑やかになっていた。山座同定をしている人の声が耳に入り、「あれが大万木山、あれが船通山。」といっているので指さしている方を見るが、ちょっと?。方角的には正しいようだが、距離的に遠いこれらの山をはっきり見分けられるのかちょっと疑問。視力があまり良くない私には判別できない。
 
 さて、これから夏焼のキビレ経由で下山する予定だったが、先週の剣山と滝巡りの強行軍に加え、連日の炎天下での仕事で少々疲れ気味だったので、登った道を引き返すことにする。体調が良くないときは無理しないのが一番だ。
 
 さすがに下りの時は登りほど暑くはなく、あまり水を必要としなかった。ちょっと話がそれるが、夏場の山登りの昼食は少し工夫した方がよい。普通の弁当だとのどが渇くのでお茶が多く必要になる。水の少ない山では貴重な水分だ。私はいつもコンビニ弁当だが、いつも中華丼にしている。あんかけがかかっているので、のどが渇くご飯と一緒に食べてもお茶が要らないからだ。他の方法としては漬け物や梅干し。梅干しが一番効果的だと思うが、梅干しの酸味で唾液が良く出るので必要以上に水分を補給しなくて良いからだ。梅干しだけでもご飯が食べられるので経済的でもある。逆に良くないのはビール。喉越しは良いが、利尿作用で必要な水分をどんどん体外に出してしまう。山ではやむを得ない場合を除いて排泄はしない方がよいので、出来るだけ控えたい。
 
 微妙なのは塩分。塩気があるとのどが渇き水分が欲しくなる。しかし、熱中症予防のためには適度の塩分は必要である。まあ、重い思いをすればよい話ではあるが、ちょっと参考にしていただけたらと思う。
 
ヒヨドリバナ 
 ゲレンデに着き、日向の中を下ることになる。しかし、我々のためか雲が多くなって直射日光は差さず、冷たい風と相まって快適な下山となった。
 
 ふと横に目をやると黄色い花が見えた。ニガナだと思って気にしていなかったが、よく見るとカキランだった。いつも湿原でカキランを見ているので草原にあるのがちょっと不思議に感じる。
キキョウ 
 また、登っているときには気付かなかった紫色の花を見つけた。キキョウである。秋の七草であり昔は珍しくなかった花だろうが、どこにでもいるという訳にはいかなくなっている。
 
 駐車場に戻ってみると車は6台くらい。知られている山の割に少ない気がするが、こう暑くては少ないのは当たり前か。付近に自動販売機がないので、車で少し戻ったところにある民宿の自動販売機で冷たいジュースを買った。
 
 今問題になっている十方山林道にも寄ってみるつもりだったが、疲れ気味なのでまた今度としよう。
 
 ようやく、広島県の最高峰に登ったわけであるが、すべてを見下ろすような展望は一見の価値があろう。花は少ない時期だったようで残念だが、夏焼のキビレや砥石郷山方面には行っていないので今度はこの方面に登ってみよう。
 

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