TONARIの 色撮り撮りの「紀行」

神話の国・出雲の秋旅 05/11/19〜20
島根県

鍔淵寺の紅葉 
 紅葉の時期、家族でどこか旅に出ようということになり、旅行雑誌で1泊2000円ほどの宿が松江にあると知り、それでは島根の紅葉の名所として知られる立久恵峡と鍔淵寺に行こうということになった。
 
 泊りがけなので他に行くところがないかといろいろ探して計画を立てる。

  天気予報では広島のほうは天気は良かったが、山陰方面は雨が心配だったので、県境を越えたあたりで天気の様子を見てコースを変えられるよう、2種類のルートを組む。下手にあちこちうろついていないので(笑)、行くポイントさえ抑えていれば臨機応変に対応できるよう日頃から訓練しているのが役に立つ(^_^;

 行く場所は鍔淵寺と一畑薬師、立久恵峡に決定。変更するルートに従って近くの巨樹巨木に寄れるように何箇所か下調べをしておく。たとえ行かなくても次の機会に行くときにそうした下調べが役に立つ。

 車にカーナビも付いていないが、少なくとも多少の土地勘はあるので、ルートの全体像が頭に入っていればコース変更はそれほど難しくはない。

<1日目>11月19日


 広島の天気は大丈夫だったが、山を越えて山陰に入ると、天気だったり雨が降ったりと変な天気。経験上、こういう変な天気だと山は荒れるので、立久恵峡は明日とし鍔淵寺を目指す。しかし、国道54号線沿いに巨樹がひとつあるので寄ってからにする。
高お神社の
タブノキ
高お神社のタブノキ 
 島根県三刀屋町に入ってまもなく、「中国一の椨」という木の看板が目に入る。行くつもりの巨樹は「高お神社のタブノキ」(”お”は雨かんむりに龍)。

 タブノキというカタカナをイメージしていたので「椨」という字にピンと来ず、少し行き過ぎてしまった。「やっぱりあれだよな」と思い引き返す。普通は「椨」という字は読めないだろう。

 神社の社の脇、国道からもよく見える位置に巨大なタブノキが聳えている(左の写真)。

 幹周りは7.9m 樹高35m

 中国地方最大のタブノキで、全国8位とのこと。
 大枝(主幹かな?)が折れた跡があるが、ず〜っと高い上のほうの枝に緑の葉っぱをつけており元気はあるようだ。

 訪れた時に小雨が降っていたせいか、ちょっと勢いがないと感じた。幹の折れていない昔の写真と比べると少し寂しい感じはするが、堂々たる迫力は健在。
島根ワイナリー
 タブノキを後にして国道54号線を北上し、三刀屋町中心部から出雲市方面に向かう県道26号に入る。幅広の斐伊川に沿って進む道で、中央線のないところもあるが、景色もよい道である。やがて国道9号線と合流して左折。次の目的地、出雲大社に向かう。

 出雲大社に向かって進んでいると「島根ワイナリー」の案内が出てくる。
 以前行ったことがあるので、今回は行く予定にはなかったのだが、試飲のワインと試食のお菓子でおやつにしようと(笑)寄ってみることにした。

 前に来たときはゴールデンウィークの時だったので混雑がひどかったが、昼前のせいもあるのかお客さんはポツポツといった程度。これはゆっくり試飲できる!と思いゆっくり飲んでいたら、次第に人が増えてきた。

 ここは三次ワイナリーのように樽からレバーを傾けて注ぐ形式ではなく、ガラスのボウル(っていうのかな?)に注いであるワインを柄杓(っていうのかな?)ですくってコップに注ぐ形式なので、この方が注ぐのがやりやすい。

 私は車の運転があるので、軽く口に含んで香りを楽しむ程度にし(本当ですよ..笑)、葡萄ジュースだけたくさん試飲する。厳密には飲酒運転となるが、お酒に弱いほうでもないので運転に支障が出ることはないので構わないだろう。

 出来て間もないようなワイナリーのワインは、若いというか、ただ酸っぱいだけになっていることがあるが、ここはちゃんと旨みのあるワインだと思う。試飲している人の感想を漏れ聞くと、甘口が好まれる人が多いようだが、やはり料理に合うちょっと辛口のワインの方が個人的には好み。

 試飲後はお土産の試食へ。
 ワインの後には漬物を食べて、饅頭、せんべい、チョコレートなど全種類(!)を試食。
 さすがに気がひけるので(笑)、自宅用にワインケーキを1本購入。でも、口の中が甘くなったので、締めにまたワインを試飲。島根ワイナリーはおやつに最適!と書いたら怒られるかな(^^; ちゃんと買いましょうね(笑)

 おやつを終え(笑)、出雲大社へ。
 ちょうど駅伝をしていたらしく、通行規制に出会ったが、流れがちょうど良かったのか、ほとんど待つこともなく進むことができ、大きな鳥居を過ぎて駐車場のほうに回る。駐車場からは直接お社の方に行けるが、やはり神社というのは鳥居から入らないといけないだろうと、鳥居のほうに向かう。しかし、松の並ぶ参道の途中に出たので、ここから鳥居まで行ってまたここに戻るのも面倒だと思い、ここからお社に向かって歩くことに。
出雲大社 松の参道 
 松の参道の間を通りたかったのだが、ちょうど工事でもするのか、立ち入り禁止になっていたのでその脇を進む。 後で新聞で知ったのだが、松の樹勢を回復する治療が行われるようだ。

 出雲大社の参道の松はとても立派で太いので、巨樹好きの私から見てもとても趣がある。参拝者の多い神社ゆえ根を踏まれることにより樹勢が衰えているのだろう。

 樹勢が回復し、何百年も生き続けて欲しいと思う。
出雲大社 
 さて、出雲大社は全国的によく知られている大きな神社だけあって、本当に多くの人が参詣に訪れている。

 大注連縄をくぐり、お賽銭を投げて参拝。
 普通の神社での御参りは、2礼2拍1礼だが、出雲大社では2礼4拍1礼と違う。

 ところで、若い女性が注連縄に向かってお金を投げて注連縄に食い込ませようとしていたが、あれは何の意味があるのだろうか?
命主社のムクノキ 命主社(いのちぬしのやしろ)のムクノキ 
 出雲大社に参拝した後、参道には戻らず、社に向かって右手から境内を出る。細い道をしばらく歩くと、ツワブキがたくさん咲く小道が左に出て、その奥に少し進むと「命主社のムクノキ」が出迎えてくれる。

「命主社(いのちぬしのやしろ)のムクノキ」
 樹高 17m  幹周り 5.8m  推定樹齢 1000年
 大社町指定天然記念物

 ちょっと写真が悪いので分かりづらいが、根のうねりやコブなどの樹肌の表情が豊かなムクノキの巨樹である。
 岩を抱いて生長しているせいか根上りとなっており、根元付近は三角錐のような樹形になっている。

 葉の多くは落葉していたが、黄葉した葉も割と残っていた。

 御神木でもあり神威を感じるムクノキだが、根や樹肌に損傷も見られ、幹も折れていて、樹勢はそれほど感じない。生命力みなぎる巨樹というよりは、人々を見守る、静かな威厳を示す御神木と感じる。

 なお、根の周囲には多くのツワブキが咲いていて綺麗だった。
 
 ムクノキに別れを告げ、国道431号に戻り、国道沿いにあるお蕎麦屋さんで昼食。出雲といえば出雲蕎麦!

 出雲蕎麦は皮も一緒に挽くので普通の蕎麦より黒くなり香りが増す。また、普通はざる蕎麦だが、出雲では割子そばが一般的で、3つぐらいを重ねた皿(とは言わないか...)にそれぞれ蕎麦が分けられ、かやくを乗せてつゆをかけて食べる。

 私の経験上、味にハズレは少ないのだが、抜群もないので、どのお店でも安心して(?)食べられる(^^;
 
遠くに三瓶山 
 昼食後は今日のメイン、鍔淵寺に行く予定だったが、日御崎の方に大きなソテツがあることを思い出し行ってみることにした。

 海を見ながら走るが、今日の日本海は多少荒れ加減で白波が綺麗である。

 もう少し天気が良いとよいのだが、山陰はこの頃から天気がはっきりしないどんよりとした日が続くので、雨が降らないだけマシである。

 さて、目的地のソテツだが、行くつもりではなかったので下調べをしておらず、行けば見つかるだろうという安易な気分で行ったもので見つからなかった(失笑)。他の木なら大きなその樹形から見当がつくのだが、ソテツは樹高が低いので、敷地内に入らないと分からないのである。人に訊こうにも、歩いている人がおらず...結局諦めたが、次の機会はちゃんとした調べをしておこう。

 ちょっと遠回りになったが、瀬戸内の穏やかな海を見慣れているものにとっては荒々しい日本海の海を堪能しながら海岸線を走り、多少迷いながら鍔淵寺に向かう。近くに行けば案内はある。
 
 今回の旅行のメインのひとつ鍔淵寺に到着。
 紅葉の名所として有名な場所であり、見頃の時期なので駐車場を心配していたが、見物客は多いものも混雑するまで多くはなく、一番上の駐車場に停めることが出来た。天気がいまひとつなので出足が鈍っているのであろうか。
 
鍔淵寺 玉すだれの滝(笑)紅葉
 ここから舗装道路をしばらく歩くことになり、綺麗な渓流を見ながら坂を登る。

 雨が降った後ということもあり、岩を伝って滝のように流れる場所もあってきれいである(左側の写真)。

 道路が舗装されているので情緒がもうひとつだが、こればかりはしかたない。

 途中の紅葉は、色付いているものとそうでないものもあり、見頃としては早いかな?と思いながら歩く。
 
 やがて山門をくぐると鮮やかなイロハモミジが現れまる。今回はこの近辺が一番綺麗だったように思う(冒頭の写真)。

 これから急な石段を何段も登ることになるが、日頃運動不足の人には結構辛い石段だろう(笑)。山登りで坂を歩き慣れているのが役に立つ(^^

 イロハモミジの色付きはもう一歩といったところだが、これはこれで綺麗である。
 
鍔淵寺 
 鍔淵寺の紅葉の写真としては、石段とそれを囲むイロハモミジという構図が代表的なのだが、その場所は緑の葉っぱが多く、あまり絵にならなかった(左の写真)。

本堂より見下ろす 
 一番上の本堂に到着。

 ここから見下ろす景色もなかなか綺麗である(左の写真)。

 もう少し色付きが進み、光がもっと差したらもっと綺麗だと思う。
狛犬 
 狛犬がいい味を出していたので撮影。


 さすがに紅葉の名所として知られているだけあって多くの人が、「よっこらしょ」と石段を登り、写真を撮っている。

 なお、本堂の横には大きな3本のスギが並んでいる。
浮浪の滝 浮浪の滝 
 石段の一番下まで戻り、今度は浮浪の滝に行くことにする。

 雨後なので入口の川が増水していて危ないかなと思ったが、折角なので行ってみることにした。苔むした石段を登り、山道を登っていくと浮浪の滝に到着する。(下の写真)

 大岩の間から一条の白い筋が柱のように延び、岩に当たって袴の様に流れ落ちる優美な滝である。

 滝の裏側にお堂があり、雰囲気も良い。何でも武蔵坊弁慶が修行したことがあるとか...

 一見の価値がある滝だと思うが、行くまでの道があまりよくないので、登山靴とまでは言わないが、歩きやすい靴で行った方がよい。滝近くは滑りやすいので注意のこと。入口から10分ほどで行ける。

 良い滝なのだが、あまり知られていないのか、嘘のように人がいなかった。
一畑薬師
 今日のメイン、鍔淵寺を後にし、次は広い宍道湖を見ながら一畑薬師に向かう。一畑薬師といえば眼に関するご利益のある仏様として有名である。

 宍道湖のそばを走る道から案内にしたがって山側に左折。広い田園風景の中を進み、再び案内に従い左折。ここから坂になり徐々に高度を増し、眼下に宍道湖と、紅葉した山肌が広がる。

 一番上の広い駐車場に車を停める。時期的なものなのか、閑散として寂しい感じがする。お寺なのでどういう時期が賑わうのか良く知らないが、人手が一番あるときは、この駐車場がいっぱいになるくらい人がやってくるのであろう。

 駐車場を出てお土産物屋さんの前を通りながらお寺に向かう。人通りが少ない(というか殆どない)ので、こういうお店の前を通り過ぎるのは、何となく後ろめたい気持ちになるのは何故だろう(笑)
 
石灯籠石段 
  ずらっと並ぶ苔むした石灯籠(左側の写真)と眼下の景色を見ながら本堂に向かう。

 最後は急な石段で、今日は本当に多くの階段を登るなぁと思いながら登る(笑)

 その石段が右側の写真で、この石は以前、私の住む呉市の路面電車の敷石に使われていたものが寄付されたと聞く(情報のウラは取っていませんケド)。

 
 ようやく本堂に到着し、お参りする。
 本堂に向かって右手に無数の仏様が並んでおり、寄付された方の名前も一緒に表示されている。
 これだけ集ると圧巻で、写真を撮ろうと思ったが、あまりこうした宗教色の強いものはレンズを向けるのが不敬な気がして撮れなかった。もちろん建物も宗教色はあるが、これらは建築物としての美しさがあるので感覚的に違う。
  
本堂付近から宍道湖を見下ろす
 代わりといっては何だが、ここから見る景色がとても良かったので掲載する(左の写真)。

 もう少し天気が良くて光があるともっと素晴らしい景色になっていたと思うが、お寺と紅葉した山肌と宍道湖の取り合わせはなかなかの絶景である。
巨木 
 売店(というのも変かな?)で御霊茶を買い、今度は石段ではなく坂を下って別の道で元に戻る。

 一畑薬師は別に紅葉の名所としては知られていないと思うが、カエデの大木も多く、もう少し時期が遅ければもっと紅葉がきれいなのでは?と思う。

 左の巨木は何の木だろうか?こんな大きな木が結構多く見られる。

 帰りはお土産屋さんに申し訳ない気がしたので(笑)、温かいお饅頭を買って食べる。今日は寒いので温かいお饅頭がおいしかった。もうちょっと大きかったら尚良かったのだが(^^;

 他人事だが、これだけのお客さんで土産物屋がやっていけるのかちょっと心配になった。他の時期で儲けているのならいらぬ心配だが。

 一畑薬師を発ち、今日の最後予定の玉造温泉へ。

 今日のホテルは安いだけあって温泉ではないので、ここまで来たからには玉造温泉に寄ってホテルに行くことにした。

 玉造温泉はこれで2度目になる。一番最初は大学受験でやって来て、他の受験生との相部屋だった。なのでゆっくりと過ごした記憶はないので、今日はゆっくりと過ごしたいところだが、今回もお風呂だけの利用になった。

 夕方に着いたが、駐車場が満杯でなかなか入ることが出来なかった。お湯はやはり良く、お肌がつるつるになった(笑)

 玉造温泉を後にし、松江市のホテルへ。一泊2000円ほどの格安ホテルである。
 エレベーターもなく、風呂はシャワーのみ。寝られれば良いので構わないが(^^;

 夕食は外に出て目星をつけていた郷土料理の店へ。しかし予約いっぱいで入ることが出来ず、ちょっとウロチョロした後、豆腐料理の店を見つけそこで食べることに。郷土料理的なものを食べたかったが、これはこれでおいしかった。食べるところはどこにでもあるだろうと、予約していなかったのは失敗だった。

<2日目へ>

Copyright(C)2001-2006 All Right-reseaved tonari