TONARIの 色撮り撮りの「紀行」

神話の国・出雲の秋旅 05/11/19〜20
島根県

<2日目>11月20日


今日のメインは紅葉の立久恵峡だが、例によってあちこちウロチョロしながら向かうことにする。

 まずは八重垣神社へ。
 松江駅付近からは国道432号を南下して県道21号に入り、国道9号線をくぐって県道246号線(八重垣神社線)に乗る。後は道なりに進んでいけば八重垣神社に着く。
 八重垣神社は、知っている方はピンと来るはずだが、特に女性の方に良く知られている場所。もっとも知らない人はさっぱりなのだが(^^;

 この八重垣神社は縁結びの神様として知られ、日本神話の中では最も有名な八岐大蛇を退治した素盞嗚尊が稲田姫命と夫婦としてこの地に宮を築かれたという神社。
 鎮守の森には稲田姫命がその姿を写したという鏡の池があり、神社で占い用の紙を買ってこの池に浮べ、その紙の上にコインを乗せて、その沈む早さによって縁談を占うというのが有名。
 
八重垣神社

連理玉椿
連理玉椿 
 私は別にこの手のことには興味があまりないので、本当の目的は「連理玉椿」(左の写真)。

 樹高8m、幹周り1.8mのツバキの大木で、稲田姫命が2本のツバキの枝を地面に突き立て、それが芽吹いて一本になったという伝説を持つツバキである。

 端正な樹形の美しいツバキで、蕾をたくさんつけているので、花の頃は華やかだろう。
 
 「夫婦ツバキ」とも呼ばれ、このツバキのほかにも境内に夫婦ツバキがある。このツバキは美容のご利益があるといわれ、化粧品メーカー資生堂の玉椿会もこの木に因んだものだそうだ。

 連理玉椿は境内から少しだけ離れたところにあり、ちょうど悪いことに、そばに駐車場があるので車が止まっていると写真にならない(^^;
 
シイノキの巨木 
 境内に入るとこの神社の性格から分かるとおり、若い女性が多く見られ、むさくるしい(笑)男が入ると場違いな感じがする(^^;

 椿だけでなく古いスダジイの巨木もあり、巨樹好きにとっても興味深い場所である。

 スダジイの写真を撮ろうと思ったのだが、若い女性が近くにある摂社(かな?)に真剣にずっとお参りされていたので、どうも撮影するのは失礼な気がして気が引けた。しかし、いつまでも待っていられないので、後姿だけになるようにして、心の中で断りを言ってから遠くから撮影する。
大杉 
 次に鏡の池へ。

 境内から外れて鎮守の森の中に入っていく。森の中には大きな杉が鎮座し、静かに聳えている(左の写真)。

 その大杉の向こうに例の鏡の池がある。
 占い用の紙は持って来ていないので、記録的に池を撮影しようと思ったが、若い女性がしゃがんで池を見つめて占いをしていたので、そういう時に撮影するのはやはり失礼だろうと思い、撮影せずに退いた。なら上の写真も撮るなとツッコミを入れられそうだが、こういうのは雰囲気的なものなので...

 やはりこういう場所は、独特の雰囲気のある神聖な場と感じる。
神魂神社 神魂(かもす)神社 
 八重垣神社を後にし、神魂(かもす)神社へ車で移動。来た道を少し戻り、県道247号へ右折。国道432号に合流したら右折。風土記の丘近くにあるので案内に従う。

 この神社の本殿は国宝であり、現存する最古の大社造のお社で、出雲大社の改築より400年も古いとのこと(左の写真)。

 改築は1346年とのことなので660年も経っていることになる。
 
 建築についてはよく分からないが、このお社もいい雰囲気を持っている。出雲には他にも多くの神社があり、神話の国と言われるのが納得できる。私は詳しくないが、その方面に明るい方にとってはゆっくりと時間をかけて訪れたい地方なのだと思う。
 
 神魂神社を後にして次は日本一のスダジイ、志多備神社のスダジイを見に行くことにする。
 スダジイと聞いても木に関心のない方はご存じないと思うが、シイノキといえば何となく分かるだろうか。

 国道432号に戻り南下し、八雲村役場に行く。そばから南下する道があるので道なりに進めば、静かな田園風景の道を進むときれいなトイレつきの駐車場が見つかり、スダジイの案内が出ている。スダジイを見に来る人用の駐車場が整備されている。車で神社近くまで乗り入れさせない意味もあるが、こうして整備されていると何だか気持ちが良い。

 この駐車場に車をとめ、神社へ向けて田園の中を歩いて行く。駐車場からは、こんもりとした鎮守の森が見え、目的のスダジイも、幹は見えないが大きな樹冠が見える。
 
志多備神社の
スダジイ
志多備神社のスダジイ 
  「志多備神社のスダジイ」

 樹高20m、
 幹周り11.4m、
 村指定天然記念物

 鳥取県にある伯耆の大シイと並んで日本一のシイノキである。
 
 ぶっとい主幹から9本の大きな幹が広がり、まるで生きているかのように伸びている。山口県の川棚のクスの森と雰囲気が似ており、ひとつの森のような巨大な樹冠を形成している。クスの森と違うのは、スダジイ独特の歳を経たような味わいを持ちながらも、神秘的な生命力を感じる様。

 大きな注連縄が幹に巻かれている様子も、この地のこの御神木への信仰が感じられる。
 他にも幹周り6mというスダジイの巨樹があるが、こちらの木を見た後では、幹周り6mの木が随分と小さく見えてしまう。
 

 午前中の予定はこれでおしまいで、紅葉の立久恵峡を目指す。
 再び北上して宍道湖近くまで向かい、国道9号線で出雲方面へ走る。昼には少し早いが、混むと嫌なので国道沿いの蕎麦屋で食べることにする。そして立ち寄ったのが、日本一大明陣という朱塗りの御殿のようなお蕎麦屋さん(^^;

 テレビで紹介されるお店なのだが、食玩のコレクションで有名なのである。
 店の中に入ると、懐かしいやら、こんなのあったっけ?というようないろいろな種類の食玩がこれでもかというくらいに展示されている。食事をとるお客には無料だが、食玩の展示を見るだけだと見学料1000円(だったとおもう)となっている。

 蕎麦は、相撲取りが酒を飲むような巨大な椀の中に盛られ、まずその大きさにビックリする。蕎麦の色は黒く、出雲蕎麦らしいお蕎麦。殻ごと挽くので黒くなるのだが、切れやすいというのもまた特徴。ここの蕎麦が一番出雲蕎麦らしいかもしれない。旅の思い出として立ち寄るのにはちょうど良いのではと思う。話の種にはなることは間違いないだろう(^−^)

 なお、お蕎麦を頼むとセットでシジミの吸い物が付いてくるが、これはお勧め。
 シジミのバター焼きも頼んだが、普通のシジミと違って(アサリまでとはいかないが)大きなシジミを使っている。ヤマトシジミという宍道湖の特産だそうである。
 
 
 食事を済ませた後は立久恵峡へ向かう。
 国道9号線を走っていれば案内は出るので特に説明はいらないだろう。

 立久恵峡は紅葉の名所として知られる場所であり、「山陰の耶馬渓」との別名を持つ。
 また希少な植物の生育地としての側面もあり、いずれは行きたいと思っていながら、やはり遠いので行けずにいた。最短で片道3時間の距離というとちょっと行く気が失せてしまう(^^;。

 最初に不老橋近くの駐車場に行ったが、狭いこともあって停められるスペースもなく、浮嵐橋側のわかあゆの里に駐車。100台くらい停められるようだ。ここから川岸を歩いて一周することにした。
立久恵峡 立久恵峡 
 駐車場から少し歩いたところから奇岩を眺める(左の写真)。

 紅葉は終わりかけなのかいまひとつパッとしない。しかし、耶馬渓を思わせる岩の感じと紅葉との組み合わせはなかなかのものである。

 
 民家のそばの遊歩道を進み浮嵐橋へ。

 やはり色づきのピークは過ぎているが、さすがは紅葉の名所として知られる場所だけあって、そんな状態でも多くのお客さんが来ていた。独特の岩肌と紅葉、青空と楽しめる。時期が合っていればなぁ〜と思うが...
 
 川に沿って進み多少のアップダウンを経て不老橋へ。見上げると岩が屏風のように並んで聳えていて絵になる場所である。

 岩を伝うツタが紅葉していて美しく、撮影スポットとして一番良いのはこの辺だろう。

 対岸へ橋を渡る。
 この橋は吊り橋なのでいくらか揺れるが、怖い部類ではない。こういう橋だとわざと揺らす人間がいるのは何故だろうか(^^;いい大人が揺らして楽しんでいた(笑)


 紅葉の見頃が過ぎているので、特に写真を撮る訳でもなく、あまり変化のない散歩道を歩く。
 ちょっと歩くと桟橋の跡があるが、今は放置されているような様子。流れが緩やかなので昔はボートを出して楽しんでいたのだろう。
 
オッタチカンギク 
  川を見ながら歩いていると黄色いキクが崖に咲いていた。オッタチカンギク(乙立寒菊)という珍しい植物らしい。

 望遠でしか撮れない位置にあるため、手持ち撮影ではブレてしまい左の写真のようなものしか撮れなかった。人の手には届かない場所で咲いている。

 なお、オッタチ(乙立)とは、この立久恵峡のある地域の名前。変わった地名である。
 
  しばらく進むと無数のお地蔵様が並んでいる場所に着く。

 大きな岩の裂け目というか継ぎ目の空間にもお地蔵様が並んでいる。五百羅漢というようだ。結構高い場所にもあるので、昔の人が足場でも組んで作ったのだろうか。木の根元にも多くのお地蔵さまがいる。

 少し進んで霊光寺への急な石段を登る。背後に聳える岩が覆い被さるようだ。

 再び元の道に戻り、浮嵐橋に到着。

 紅葉の具合が良くて、写真を撮りながら歩くと一周2時間はかかるだろうが、ただ歩くだけなら1時間で一周できる。

 この立久恵峡には今回載せたオッタチカンギクの他にも希少植物が生育しているが、見つけても絶対に盗まないようにして欲しい。希少な植物がどの辺にいるかだいたい見当がついているのだが、ネット上で書くと盗掘者に知られるので、秘密にしておく。本来は自由に情報交換できるのが良いのだが...(−_−;
須佐神社の大杉 須佐神社の大杉 
 立久恵峡を後にし、これから広島へ向けて帰るが。やはりせっかくなので帰り道にある巨樹を訪れてから帰ることにした。
 国道184号を南下し、佐田町中心部へ。橋を渡って左折し、すぐを左折して県道39号に乗る。道なりに進むとスサノオ館があるので、川を渡ると神社がある。

「須佐神社の大杉」

樹高30m、 幹周り6m、 推定樹齢1200年
(出雲市佐田町)

 須佐神社の本殿裏にある樹勢の良い大杉。葉は青々として生気に満ちており、清々しいスギである。

 実は某有名霊能者(といえばいいのかな?)がパワーを貰いに行くのだと紹介した御神木である。

 私は他にもパワーを感じる巨樹たちに出会っているので、このスギだけが特別に力があるとは思わないが、幹に手を当てている人も見られた。私は霊感というものは持ち合わせていないが、こうした巨樹に出会うと畏敬の念を感じるのは確かである。
 
 ただ、わざわざここまで来なくても、皆さんの地元にもこうした御神木があると思う。調べるのはネットが普及した現代では容易なことであり(広島県の巨樹巨木については私の別サイトを参考にして欲しい)、有名人が行ったから行くのではなく、もっと身近なところに目を向けられても良いのではないかと思う。
 
  なお、この神社には「須佐神社の七不思議」というものがあるそうなので、その手のことが好きな方は調べてみるとおもしろいのでは?と思う。

 隣に温泉施設、出雲須佐温泉すさのおの郷ゆかり館があるので、時間がある方はどうぞ!
 


 今回は「神話の国・出雲の秋旅」という題で旅行記を書いたが、畏敬の念を感じる巨樹巨木、静かな威厳を漂わせる神社仏閣、鮮やかな姿を見せてくれる自然と出雲の国のいろいろな側面を見ることが出来た充実した旅となった。今回立ち寄らなかった行きたい場所はまだまだあるので、機会があればまたこの地を訪れて皆さんに紹介できたらと思う。
 

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