TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

大神ヶ岳 02/5/18
島根県匹見町

山頂から吉和冠山を望む 
 「酷道」と表現されることもある国道488号線が通る中津谷渓谷は、紅葉のすばらしい渓谷であり、紅葉が良ければ新緑も良いはずであるのでこの時期に通ってみたかった。
 
 用事で山口県の秋穂町に行くので、中津谷の新緑を見て山に登るのに行程的に丁度良いところはないかとその周辺の山を調べていて見つけたのが、今回紹介する大神ヶ岳である。
 
 
 広島西バイパスを通り、宮内交差点で吉和方面に曲がる。道なりに進み、国道186号にぶつかったら右折し、道の駅スパ羅漢でトイレ休憩。更に吉和町に向けて進み、国道488号の標識に従って左折する。まだ匹見町に抜けるところは通行止めのようだ。
 
 狭い道だが新緑が大変美しく、キシツツジの鮮やかな色が目を癒す。渓流釣りをする人も散見された。有名なカラ松並木を過ぎて少し進むと左に橋があるので左折する。八郎道という林道で、道は狭くはあるが488号よりは広い。ナルコユリやラショウモンカヅラなどが見られ、歩いてみれば他の花も見つけられるかもしれない。
 
 パワーショベルが作業をしているのに出くわしたが、道を拡張するのだろうか。車があまり通らない場所だけに、この渓谷の自然を壊さない程度の整備であって欲しい。
 
 県境の暗いトンネルを抜け少し下ると、右手に古い鳥居が立っているのでその向かいにある駐車スペースに車を置く。ガイドブックには10台とあるが、最初に止めた人の配慮によろう。アギスミレであろうか、白いスミレが駐車場にたくさん咲いていた。
 
チゴユリ 
 鳥居を潜って登り始める。植林の中の道をスイッチバックで登ってゆく。少し雑木林ぽい雑然とした感じもあるが、枝打ちをしてあるので林間は比較的明るい。
 
 花はチゴユリをいくつか見ただけで他の花は見えなかった。
 
 水場を過ぎ、鳥居から約20分で平岩を過ぎ、更に5分で山葵天狗社に到着する。巨岩の間を潜り抜けるくぐり岩を抜け、やがて見上げるような懸崖の下に到着する。懸崖のたもとに三坂大明神の祠がある。これほどの巨岩はほとんど見たことがない。信仰の対象となるはずである。
 
 これから左に曲がり懸崖を巻くようにして登る。この辺になるとブナが少し混じるものの、やはり雑然とした林である。雨で滑りやすくなっているので注意して進み、立岩山との分岐に到着する。
 
タニウツギ 
 雨で傷んだのか、タニウツギの花と蕾がしおれている。
 
 右に折れ、狭い道を登ってゆくと山頂に到着する。枝が張りだしているところも多く、少し引っ掛けられるかもしれないが、踏み跡ははっきり分かるのでそのまま進めばよい。
 
 山頂は狭いものの、巨岩のテラスがあるので見晴らしは最高である。新緑が目にまぶしく、吉和冠山、寂地山、小五郎山、安蔵寺山と南側の展望がよい(冒頭の写真)。同じく匹見町の山である半四郎山に登ったときと同じく、アンテナ、電線、民家などが一切見えない。注意してみると車道が見えなくはないのだが、それは望遠鏡を使ってはじめて確認できるくらいである。
 
イワカガミ 
 山頂部にはタニウツギ、ミツバツツジなどが咲き、驚いたことにイワカガミの群落がある(左の写真)。
 
 花は終わりかけのようで、花を落としたものが多いが大変きれいな色である。花は少なかったがこの群落に会えただけで十分である。
 
 大神ヶ岳は登山口から約40分で山頂に立てるのでちょっと物足りなくはある。地図上で赤谷山と表記される立岩山まで約1時間の縦走路があるそうなのだが、雲行きが怪しそうなのでこのまま下山する。ほとんどの人は縦走するようだが、また今度にしよう。一度登った山は2度と登らないという人もいるようなので、次に来るときの口実を作っておいてもいいだろう。
 
 植林がこの山の魅力を半減しているように思うが、手軽に展望の良い山頂に立てるのは大変うれしい。しかし手軽だからと言って観光地気分で山を荒らして欲しくはない。ツキノワグマの生息地でもあるので単独行の場合は特に鈴をつけると良い。
 
 マナーのある楽しい山登りをしてゆこう。

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