TONARIの 色撮り撮りの「山 行」


紅葉の比婆山縦走’00

立烏帽子駐車場→(千引岩経由)→越原越→比婆山(御陵)→烏帽子山
<引き返し>→比婆山(御陵)→越原越→池の段→立烏帽子→立烏帽子駐車場
00/10/21
広島県比婆郡西城町/比和町

ブナ林

 
 さあ、紅葉の季節である。
 
 山の写真を撮るのにこれほど適した時期はない。
 
 普段は緑だけで、写真を撮るにしても形の良い山は別として記念的・記録的に撮影するだけで山それ自体は特段写欲をそそられる素材ではないが、紅葉の季節は近所の裏山でも被写体になってしまう。
 
 しかし、皆様に見ていただくのに近所の裏山というわけにはいかないので、広島県では有数の紅葉の名所、比婆山をご紹介する。 
 
 紅葉と一口にいってもいろいろな種類がある。紅葉前線などで発表されるイロハカエデ、真っ赤に紅葉するナナカマド、真紅のウルシ、そして黄葉するブナ。今回はブナの黄葉を目当てに出発する。

 
 比婆山の登山コースはいくつもある。無難なのはひろしま県民の森公園センターのある六の原を起点とするルートだが、ここからのルートは多彩にある。 
 
 比婆山でけを目指すならば直接登る道もあれば、比婆山以外の山々を越えていく道もある。体力にあわせてコースを選択できる楽しみがある。
 
 また、吾妻山を出発点とすると、大膳原を通って烏帽子、比婆山、池の段、立烏帽子という縦走コースがあり、10qを越す距離があり歩きごたえがある。また一番簡単なアプローチとしては立烏帽子駐車場まで車で上がり、立烏帽子、池の段に行くコースがあり、時間がない、体力に自信がないといった方にお勧めである。
 
 実は今回のコースはこの立烏帽子駐車場を起点とするらくちんコースである。とは言っても池の段まででは寂しいので烏帽子までいって引き返すコースとした。
 
 
 この日は三和の方から霧がかかり、庄原の街に入ってもまだ霧がかかっているという珍しい天候だった。三和や三次に朝霧がかかるとその日は晴れである場合が多いので雨の心配はないようだ。
 
 ようやく西城の町に入ってやっと霧が晴れる。国道沿いの山々はほんのり色づき始めており、場所によってはきれいな錦の山景色が見られる。立烏帽子駐車場に登って行くにつれ右側に見える竜王山の斜面が色づいているのが見えた。朝の光の関係で影になっていたので鮮やかさは十分には分からないが、とてもきれいだったことは確かである。
 
 そして私の車の前に同じく立烏帽子駐車場に向かう車に追いついたので、景色を見ながら運転していると思い、こちらに気を使って気が急かないよう十分距離をとってこちらもゆっくりと登る。
 
 
立烏帽子駐車場 
 
 駐車場付近は霧が立ちこめ幻想的な雰囲気となっていた。霧のかかる紅葉というのも絵になるのでカメラを構えたが、霧が全体にかかっているので今ひとつポイントが絞り込めない。
 
 霧という被写体は写欲をそそられるものの、カメラのオートフォーカスが正常に働きにくく、扱いに注意を要する。幸い霧が少し晴れたので1枚撮影する。
 
 
 さて、出発前に本日のコース紹介すると、
 
  立烏帽子駐車場→(千引岩経由)→越原越→比婆山(御陵)→烏帽子山→比婆山(御陵)→越原越→池の段→立烏帽子→立烏帽子駐車場
 
 である。
 
ブナ林 
 まず、立烏帽子駐車場から越原越を目指す。立烏帽子駐車場からは6本の道があり1本は車道で、今回車で登ってきた道であり、竜王山へもいける。
 2本目は竜王山への登山道、3本目は六の原へ下る道、4本目は池の段へ直接いける道、5つ目は立烏帽子に登る道、最後は千引岩を経由して越原越に行く道で今回はこのコースである。
 
 このコースはブナの林の中を通るので、特に朝霧が漂う時間は幻想的で美しい。ブナの独特の雰囲気と霧との相性が大変良い。
 
 多少のアップダウンがあるがあまり疲れを感じない良い道である。花の季節には様々な花が咲くので、撮影だけが目的なら立烏帽子駐車場に車を止め、この道をゆっくり撮影しながら歩くのも良い。
ブナ林 
 
 越原越からは池の段に登る道と比婆山(御陵)に登る道に分かれるが、前者は帰りに登るので後者の道を取る。基本的に千引岩を通るコースと同じ感じであるが、霧も晴れ陽光が射してくるので紅葉の映えも良くなってくる。
 
 ブナも御陵に近づくに従い大きなものになり、純林であることが分かる。ブナは造形的におもしろく撮り方によっておもしろい被写体となる。残念ながら私自身はこれだ!と言えるものとれないでいる。
 
 
イチイの実 
 
 さて、御陵の近くになるとイチイの木が目立ってくる。イチイの木は高貴な木らしく、道の両側に立つ立派なイチイの木は「門」とされている。イチイの木は上にはあまり高くないが、横に這うように広がる木で、赤い実を付ける。
 
 カタクリで有名な船通山には天然記念物のイチイの木があるので、良かったら見ていただきたい。
 
 ただ、高くそびえる木ではないので興味を持って見ないとおもしろくもなんともないように見えるので注意(笑)。
 
 
 御陵は真ん中に大きな岩があり、それを取り囲むようにブナの木がある。信心のない人間にはこれといって感慨はないが、立派な道路もない時代にやっとの思いでここに参拝していたのだろうから感慨もひとしおだったのだろう。こうして考えると気楽に山登りできる時代というのも問題なのかとふと思ってしまう。
 
 
イチイの実 
 
 近くに太鼓岩、産子岩があるので寄ってみる。それこそ興味のない人間にはただの岩である。しかし、こちらにはイチイの木が多く、岩に落ちた一粒のイチイの赤い実をフレーミング。良い題材だと思ったが、我が身の感性のなさのため、フレーミングの失敗。残念。
 
ブナ林 
 
 御陵から一旦下ってまた烏帽子山に向かって登るのだが、この辺になると多くの人とすれ違う。有名な山で紅葉の季節なので数えられないくらい(少し言い過ぎ)の人がいるが、登山道が広いのでそれほど窮屈さはない。
 
 混雑が嫌いな人間にとっては登山道が広いのはありがたい。この下りの道は丁度光が紅葉を照らすので、大変美しく何枚もシャッターを切った。
 
 

次のページへ

Copyright(C)2001-2010 All Right-reseaved tonari