TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

深緑の 鯛ノ巣山 02/7/13
島根県仁多町

ヤマアジサイ 
  「あの山は登ったからもう行かない。」という人が時々いる。常に新しいところに行きたがるのは人の常ではあるが、同じ山でも季節を変えると違った表情に会えることが多い。
 
 という訳で、紅葉と新緑の季節に登った鯛ノ巣山の夏の様子を確かめに行って来た。
 
 アクセスは以前のページを参照下さい。
 
 今日は台風の接近で天候が安定せず、いつ降り出してもおかしくない空模様であるが、雨は降っていないので決行する。
 上の駐車場に向かう途中で立派なオオバギボウシを見つけたので期待が膨らむ。
 
 コウモリ岩経由のコースで登り始めるが、最初に現れるのは無数のドクダミの花。
 他にはオカトラノオがチラホラいる程度。他にいないかと目を凝らして探すが見つからない。
 アカショウマはところどころ現れるが、これからなのか花弁を出したものはほとんどない。
 どうもちょうど花が少ない時期に当たったようで、空模様と同じく気が沈んだ。
 
 鯛流水を過ぎたところで大きなつぼみをつけたウバユリの大群に出会った。しっかりとした茎、大きな葉っぱ。昔はこのウバユリの根っこからかたくり粉を採ったそうで、また、母乳の代用にもなったから「乳母」ユリと名付けられたという説もあるそうだ。
 
 ウバユリの大群のあと清流水に到着し一休止。休んでいたら小さなカタツムリも葉っぱの上で休んでいた。この山は水が豊かなのでこうした湿気を好むものたちには住み良い環境なのだろう。今日は蒸し暑い日なので汗をかきどおしだが、樹間を流れるしっとりとしたそよ風が大変気持ちいい。
広葉樹の森 
 しばらく登り、左が植林、右が広葉樹の森となった急坂のところに着く。
 
 紅葉はこの辺から良くなるが、紅葉の季節以外でもここら辺から上の広葉樹の森は大変きれいだ。
 
 今日は雨の降り出しそうな曇天のため暗いが、それはそれで雰囲気はいい。
こうもり岩 
 急坂を登りきれば巨大なコウモリ岩に到着するのでここで一服する。いつもこの巨岩を見上げるたびに自然の大きさを感じる。
 
 コウモリ岩の左に進む。他の山ではもう萎れたものが多いが、ここのヤマアジサイは丁度良い時期のようで、発色も勢いもとてもいい(冒頭の写真)。残念なのは、光量が少ないのでスローシャッターになってしまいブレてしまうこと。フラッシュを使うと色が飛んでしまう。
 
 カニコウモリの花が咲きかけであちこちに見える。数はあまりいなかったが、時期が早すぎるように思うがアキチョウジが花を付けていた。
 
 ブナの森の中の急斜面に喘いでいると、雷の低い威嚇するような音が鳴った。森の中は霧がかかり雰囲気はいいが、雷の音で不気味な雰囲気となった。
 
 最後のスイッチバックを進み尾根に取り付き、数分で山頂に着く。予想通り今日は展望は全くない。
 申し訳なさそうにヒヨドリバナが数本揺れていたので一枚撮影。雨が降らない内に昼食を摂り、すぐに下山。
 天気が良ければ南の展望所に行くのだが、こういう天気の時は早々に引き上げるのがよい。
 
 下山の準備をしているとついに雨が降り出し、かっぱをまとう。
 下山は大滝経由の道を使う。稜線のブナ林は普段は落ち着けるいい道なのだが、雨と雷でどうも不安な心持ちとなる。途中14名からなるパーティとすれ違ったが、もう30分でも雨がもってくれればと願った。願いが天に届いたかどうかは知らないが、雨は止み空が明るくなった。
 
 この山は基本的に道がよいので安心だが、やはり雨の日の下山は滑りやすい。
 
ブナの森 
 ブナ林から植林が混じるようになりルイヨウボタンの群生地を通る。
 
 5月はユキザサがルイヨウボタンを押しのけるように咲いていたが、今回はヤマアジサイの紫や赤の花が主役になっていた。
 
 やがて水の音が聞こえ小さな滝がいくつも見えるようになる。場所によっては上流から何段にもなって水が流れ落ちるのが一望できる場所もある。気持ち水量と幅があればいうこと無しであるがそれは贅沢だろう。
 
ギンバイソウ 
 下る途中、大きな葉っぱの真ん中に白い花のつぼみを10個近くつけた花を見つけた。
 
 見たことがない花だったので写真を撮った後スケッチした。
 
 アジサイのような葉っぱだがアジサイより数倍大きい。また、切れ込みのある特徴的な葉っぱだった。帰宅後調べるとギンバイソウであった(左の写真)。
 
 大滝に向けて下り、小休止。5月はヒメレンゲの花が渓流添いの岩にこびりつくように咲いていたがもうその痕跡は分からない。
 
 ここからは平坦地になり10分程で駐車場に着く。
 
 あと1〜2週間後ぐらいから花が多くなるのではないかと思うので、その頃の時期に登られた方がありましたら様子を教えて下さるとうれしいです。
 

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