TONARIの 色撮り撮りの「山 行」

霧島縦走

韓国岳−獅子戸岳−新燃岳−中岳−高千穂峰
01/6/9〜10
鹿児島県/宮崎県

ミヤマキリシマ
 
 いつか霧島の縦走をしようと感じたのは昨年のこと。
韓国岳の山頂から見える獅子戸岳、新燃岳、中岳の連なりとその奥に鎮座する高千穂峰を見た時だった。
 
 韓国岳できれいなミヤマキリシマを見せてもらっているが、縦走路から見える同花の群落も見事と聞いているからなおのことである。
 
 さて、今回も旅行会社のバスツアーに参加することにした。車で行けない距離ではないが1人で運転するにはきついし、何より旅費が断然安くなる。縦走になるとマイカーは不便だ。
 
 そんなわけで総勢37名の団体での霧島縦走が始まった。

 
 週間天気予報は降水確率50%で心配していたが、前日の天気予報はくもりとなり多少天気がずれ込んでくれたようだ。登山口となるえびの高原に着いたのは朝6時頃で天気は晴れ。よし、展望は抜群だと思って喜んだのは1時間くらい。出発が近づくにつれ韓国岳山頂に黒い雲がかかった。雨は大丈夫かもしれないが展望は期待薄であろう。
つつじヶ丘 
 なお、出発まで時間があったので例年のように近くのつつじヶ丘に寄ってみた。
 時期としては少し遅い感があるがなかなかきれいで多くのシャッターを切った。いつもなら多くの人がいて、人が入らないように工夫しながら撮るが今回はどうやら一番乗りのようで気にせず撮影が出来た。

 
 さあ、出発である。
 登山道の様子は前回前々回のレポートを参考にしていただきたいが、さすが約10.5qの縦走をしようとする人たちなのでペースは早めで、登りながら被写体を探しながら撮影していると遅れてしまう。ただ、そこは団体登山なので単独行よりはペースが遅いので追いつける。
ミヤマキリシマ 
 展望はといえばほとんどガスの中で、展望の良い5合目に着いてもそれは変わりなかった。
 
 5合目付近は例年ミヤマキリシマがきれいに咲いているのでここで1枚撮影する。
 
 ここから上は右手に大浪池が展望でき、いつもミヤマキリシマと一緒にフレーミングするが今回は全く見えない。よって韓国岳の火口も全く見えない。初めて韓国岳に来る人もいたので是非韓国岳からの展望を見てもらいたかったので残念である。
 
 見つけた花はマイヅルソウ、ウツギ(何ウツギかわからないが)、ハルリンドウといったところ。
 
山頂で記念撮影をし、次は獅子戸岳へ向けて出発する。
 
 ここから先は初めての道で、登山道の様子はガイドブックにはあまり触れられていないので予備知識はあまりなかった。霧島縦走を考えている方にアドバイスしておくと、韓国岳から獅子戸岳へ下る道はこのコース最大の難関である。
 
 最初の内は礫が多いものの問題ない道だが、しばらく行くと道がえぐられ、人が通れるのは30p幅というところが何カ所か有る。おまけに滑りやすい土なので雨の日は最悪だろう。事実転倒した人はかなり多かった。よってこの区間の計画タイムは多めにしておいた方がよい。
ミヤマキリシマ  
 しかし、登山道の両脇にはミヤマキリシマが咲き誇りとてもきれいだったことを付け加えておこう。
 
 また、ミヤマキリシマ以外では、ヤマボウシ、マムシグサが見られた。
 
 さて、韓国岳から約2時間で獅子戸岳山頂に到着する。
 獅子戸岳の山頂はそこそこ広くここで昼食をとる。相変わらずの霧で展望はなく、時々霧が晴れて新燃岳、韓国岳がうっすら見えるが写真にはならない。晴天でなくても晴れていてくれたらと思うばかりである。
 40分ほどの昼食と休憩を終え新燃岳に向けて出発する。
獅子の顔をした岩 
 下りは韓国岳からの下りに比べれば格段に楽で距離としてもあまりない。
 下る途中他の人が右手を見ているのでそこを見ると獅子の横顔を思わせる巨岩が見えた。これが獅子戸岳の名の由来だろうか。
新燃岳 
 獅子戸岳山頂から約50分で新燃岳の火口壁に着く。
 山頂へはもうしばらく火口壁の上を歩くことになるが、ここからは新燃岳の緑の火口湖を見ることが出来た。壁面にはミヤマキリシマが点在し、これが霧島だと感慨に耽った。
 
 ちなみに左の写真に写っている2つのコブが本当の頂上だが、危険なので別のところに標識は立っている。
 
 さて、新燃岳から中岳へは木道のついたファミリー向けの易しい登山道となる。長距離を歩いているだけに足に負担の少ないこの木道は大変助かる。
 辺りはまだ霧が晴れないがミヤマキリシマの赤い色が山の斜面に点在し中岳方面もこれが続いている。
 ミヤマキリシマの他はハルリンドウの花をたまに見かけた。秋に咲リンドウと違い小さくかわいい。
 
 中岳は山と言うより丘といった感じのところで、火口だろうと思われる場所(池があった)はあるが、のんびりと散歩昼寝をしたらいいような場所である。
 
高千穂峰 
 中岳からは霧に隠れてはっきりとは分からないが明日登る高千穂峰が見える。登頂欲をそそられる秀麗な山だけに晴天の日にミヤマキリシマを前面に配した写真を撮りたかった。
 
 中岳から今日の終点高千穂河原へは急坂を下ることになる。ただ、韓国岳から獅子戸岳へ下る道と比べれば滑り易くもないのでまだ安心である。
 
 急坂を終え平坦地に着くと高千穂河原へは30分ほどである。依然として高千穂峰は姿を隠したままである。
 
 ここら辺からは一般客向けの散策路なので石畳が敷いてある。これが歩き難い。やはり木道が一番だが木は腐るので補修が必要になるので仕方ない。
 
 宿泊は霧島温泉に泊まった。硫黄のにおいが強い温泉らしい湯である。

 
 さて翌日、気にしていた天候の方はまずまずで、やはり晴れてはいないものの午前中は雨の心配はそれほどいらないらしい。
 数人高千穂峰登山を断念された方があったが、割と元気な人が多いようだ。
高千穂峰登山道 
 登山口は高千穂河原からとなり、8時20分、鳥居をくぐり砂利道を進みしばらくいって社に着いたら右折する。最初は階段の道を登ることになり、しばらくして礫の多い登山道になる。両脇には満開のウツギの白い花が飾られている。
 
 樹林帯を抜けると礫だらけの道となり、ガスがかかってホワイトアウトになったら完全に道に迷いそうである。ただ、転がった岩にぶつかってけがをする人が出ると聞いていたのでかなりの悪路を予想していたが、それほど岩はズレそうになく、走ったりしなければ大丈夫そうだ。
ミヤマキリシマ 
 展望の方は、予想通りガスがかかってあまりよろしくない。花は樹林帯を抜けるとミヤマキリシマ以外は見つけられなかった。辺りに立ち込める霧から水分補給しているのだろうがミヤマキリシマという花はたくましい。
 
 約1時間でお鉢の火口壁に到着する。霧は厚くなり、横風が強い。2列で歩けるくらいの道幅はあるがこれだけ風が強いと注意するにこしたことはなく、横風で吹き飛ばされないように1列で慎重に歩を進めた。火口壁内の展望はなく、時折晴れるガスの合間から壁面にミヤマキリシマが咲いているのが分かるくらいだった。
 15分ほどで風の強い道に別れを告げ、少し下る。5分ほどで開けた場所に着きここで休憩する。相変わらずの霧だが、晴れていれば一面に広がるピンクの絨毯が展開されているだろう事は想像に難くない。
 ここから山頂までは約30分で、道は多少歩き難く落石に注意したほうが良い。
 
 さて、山頂についてもやはり霧が晴れず、記念撮影等15分ほど休憩後出発。難関である下りにかかる。
 岩が転がりやすく2回ほど小さめの岩を落としてしまった(幸い人に当たらず一安心)。何人か転倒したらしくやはり下りは危険である。お一人けがをされた方があり、ゆっくりペースで下山し、その方は救急車で病院に行かれた。
お鉢 
 しかし、一時的に霧が晴れてお鉢が見え、お鉢の側にいるときも霧が晴れてお鉢の中が見れたのが幸運だった。
お鉢の底 
 お鉢の底
火口壁のミヤマキリシマ 
壁面のミヤマキリシマ

 


 
 念願の霧島縦走だったが、霧島の名の通り霧が常にかかっていたのが残念であった。しかし時折白いベールをはためかせて垣間見せる山の表情は力強く、信仰の対象とされていることが頷ける。晴天で全ての山々の連なりが見えるのはすばらしいことであるが、全てを見れないことでまた来たいという意識が生まれる。はじめから一番いい景色を見られると次来るときの楽しみが少なくなることを考えれば良かったのかもしれない。

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